ISOMET 分解修理


ISOMETとは、ウン十万円ぐらいする、岩石の精密切断機です。半径5cmぐらいのダイヤモンドカッターを取り付けて歯を回転させ、岩石を薄く切断することが可能です。薄片を作ったりするときは、最初にこれで切断をしてからプレパラートに貼り付けて研磨を開始します。岩石の光学観測をする人にとっては、非常になじみの深い装置です。

ある日某所で、隣の研究室所有のISOMETを使おうとしたのですが。。。電源を入れたとたんに”プスンッ”という音がしてダイヤモンドカッターがぴくりとも動かない(^_^; ひぃ。なにせウン十万円もする機械です。修理だけで十万円ぐらいは軽く取られてしまいそうです。そんなぁ。まだ全然使っていないのに;;
聞くところによると、このISOMET、もう8年ぐらい前に購入したとかで、すっかり保証期間は過ぎているとか。じゃっ!というわけで、分解修理に挑戦してみましたっ!

以下の試料が、私と同様の体験をした人の参考になれば幸いです。

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私が今回分解修理したのはこのISOMETです。型番不明;
まず、ISOMETの駆動系を見るためにふたを開けなければなりません。ISOMETの周りには様々なところにねじがついています。最初は、一番ありそうな側面のねじをはずしそうになりますが、騙されてはいけません。これをはずしても、カッターや試料を受けている部分のジグがはずれないので、カパッと開いたりはしないのです。では、どこから開けるか?実は正面から開けるのが正解なんです。後ろ側にもねじがありますが、これははずさない方が無難。ボードが固定されていたりするので、中で落ちちゃいます。
正面の、速度調整ノブやスイッチがついているパネルは、ねじをはずすことでぽかっとはずれます。もちろんケーブルがついているので、引き出すときには慎重に。。。。ただし、ケーブルそのものは、コネクターでつながっているので、作業の問いにははずして大丈夫です。またこのコネクターは1方向にしか接続できないので、反対方向に接続してしまうというおそれはありません。

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先に述べたコネクタとは、この写真の左に移っている白い四角な大きなコネクタのことです。
ぱかっと開けると内部はこんな風になっています。右上に見えるのがダイヤモンドカッターにつながるギア、右下がモータからリニアギアを介して出ている回転ギアです。この二つがベルトでつなげられて、回っているわけです。では分解開始。
まず、ちょっと硬いですがこのベルトをはずしてください。こんなきっちりはまっているのをはずして大丈夫?と思うかも知れないですが、大丈夫です。もしあまりにきついようでしたら、モータの台座についているねじをゆるめてちょっとモータを動かして、はずしてください赤丸で囲った部分の、4本のねじがモータの固定ねじ。モータは重いので、ゆるめるときには十分注意すること。また、ねじ穴は縦長になっていて、位置を調整できるようになっている。ゆるめる前に現在のねじ止め位置を記録しておくと良いです。

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ベルトがはずれたら、今度はこのモータ固定ねじを完全にはずしてモータを取り出せるようにしてください。
次に、モータについているリニアギアボックスを取り外します。ちょっと見づらいので、クリックして拡大写真を見て欲しいのですが、3カ所、ねじで留めてあります。はずしてください。このとき注意が必要なのですが、この3本のねじ、それぞれ長さが違います。どのねじがどの部分だったか、ちゃんと分かるようにして保管してください。
ねじをはずしたら、迷わずギアボックスを引っこ抜いてください。なみにこのリニアギアボックスをはずすと、裏側はこんな風にグリースで一杯です。ここにモータの軸が、ただつっこまれているだけです。このグリースはせっかくだから交換しましょう。ウェス等で綺麗にぬぐって取っちゃってください。それから新しいグリースをたっぷりと詰め替えます。グリースは何でも良いと思います。

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モータ軸を上から見たところが左写真。右写真は、ギアボックスを取り除いた正面からの写真です。次はこのモータをばらします。まず、モータ左部分に見えている、大きなマイナスの黒いボタンねじをはずします。この中には右側で示すように、バネに取り付けられた磁石が入っています。これは反対側にもついているので、両方取り外してください。付けておくと後で中心軸を抜くと、お互いがくっついちゃって次に軸を刺すときにじゃまになります。
次に正面の部分のねじをはずします。まず、左写真の青丸で囲った部分(写真を拡大して確認してください)4カ所をはずすと、ワッシャーがはずれます。このワッシャーはなんだか適当に枚数を入れて調整しているだけのようにも思えます;
その後、左写真の赤丸で囲った部分のねじをはずします。ここはねじをはずすだけで、前側は別に開かないので、モータを引きずり出して後ろを見てみましょう。
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dsc00202s.jpg (6846 バイト) dsc00197s.jpg (6029 バイト) 前側の時と同様、まずは青丸で囲った部分をはずします。こちらはワッシャーは1枚しか入っていません。波打って、一部輪郭が切れたワッシャーです。どうやらこれで軸を前に押しつけているようです。
ワッシャーをはずすとこうなっています。真ん中に見えるのがモータの軸です。
次に赤丸(上写真参照)のねじ4本をはずすと、後ろのぶぶんがぱっかりとれます。このとき、モーター軸も取れちゃうので、前側で外に出ている軸部分を持って、落としたりしないように注意してください。

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dsc00195s.jpg (7976 バイト) dsc00192s.jpg (5623 バイト) モータの軸とモータの外側はこんな感じです。モータの軸のお尻の部分は、ベアリングになっています。ここがちゃんとスムーズに回るか、確認してください。もっともここが逝かれてたらどうするか?と聞かれても結構困りますけどね。ただ、モータそのものは普通の民生品のようなので、ジャンクで代替え品を探すのは可能かもしれません
後は中にたまった埃(すすがモータの中に若干見られました)を綺麗に取り除き、エアーでゴミを吹き払って、逆手順で閉めていってください。モータの組み立てでは特にアライメントは考える必要はありませんが、モータを再び台座に固定するときには、位置を微調整してください。このとき、リニアギアとダイヤモンドカッターについたギアとを結んでいるバンドがきつすぎると、モータの回転が非常に遅くなります。かといって緩いと滑ってしまうので、調整が必要。幸い、前のふたを開けた状態で、コネクターを接続して動作試験が可能なので、2人がかりぐらいで調整してみてください。一人だとちょっときついと思います。
また、ISOMETの内部もさびている場合などがあります。これらも綺麗にぬぐっておきましょう。

作業は以上です。結局、何が原因で回らなくなっていたのか分からなかったのですが、モータの内部にすすが若干見られたため、これが引っかかって導電していたのかな?とも思われました。詳細は不明; しかしこのオーバーホールで無事機能回復です。保証期間内だと無料なのかもしれませんが、これだけの作業でいくら取られるかも分からないし、作業も中断してしまいますからね。自分で出来るならそれに越したことはないですね。

最後に感想を一言。

とてもウン十万円の機械にはおもえねぇっ!

あはは; この機械、外国製ですが、国内の業者が数万円で作ったら絶対売れると思うなぁ。ま、そんなに数が出る機械ではありませんが。。。。

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