NPO法人福祉の家

活動報告

06年度会員総会
(2006年6月10日 於にしおぎ館)

議案1)
■会を巡る状況とNPO法人活動の重要性(高橋道子)■
福祉の家「西荻館」が店舗型介護福祉ステーションとして活動を開始して11年、介護福祉を巡る社会状況も大きく変化してきました。2004年4月から介護保険が始まり、今年度からは障害者自立支援法の施行をもって、障害者に対する生活援助、介護福祉の分野にも市場原理が持ち込まれてきました。6月5日には杉並区精神障害者共同作業所・グループホーム連絡会主催による「緊急集会:作業所はどうなるの」が開かれ219名の参加で、福祉切り捨てへの危機感を訴えました。

国の福祉動向は大きく、補助金削減と、当事者への負担増、そして労働者にたいしては職場喪失や賃下げ、労働強化を強いてきています。しかし障害者自立支援法の政策の中に障害者が新に自立し、生きられる道はありません。自由な共同作業所は今こそ必要な時なのです。福祉の家が掲げてきた3本の理念を再度確認し実践していきましょう。

  1、福祉の逆行を許さず、必要な人に必要な福祉を・・・自治体で働く仲間と手を結び、地域の声を行政に届けましょう。
  2、介護者が疲れていては良い介護は出来ません。介護の仕事の大切さを訴え、正しい評価を得られるようにしたい・・・高齢者---労働者---地域の共同の力で地域福祉を実現しましょう。
  3、どんな人間も等しく尊ばれる社会を・・・差別しない、排除しない福祉をめざしましょう。

その上で今後NPO法人が作業所にしおぎ館を直接運営するようになることにより、そのための条件整備が今年度の大きな課題になります。運営・組織・人員などの面においての検討、準備、移行を進めていかなくてはなりません。

高齢者、障害者に対する公的介護・福祉の後退は憲法で保障されている生存権、基本的人権が脅かされているという政治状況とも深く関わっています。私たちは人間らしい介護、福祉を守り、実現していくためにも、平和・人権の視点を活動の中に位置づけていく必要があります。

また、共同作業所という地域拠点、地域職場を守り、拡大していくためにも雇用の問題にも関わっていく必要があるでしょう。

議案2)
■定款改定に関わること■
議案1)の状況を踏まえ、以下のように定款改定を提議します。

1.(特定非営利活動の種類)
現行 1)保健、医療又は福祉の増進を図る活動
   2)まちづくりの推進を図る活動
   3)以上の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

改定 1)2)はそのまま
   3)人権の擁護又は平和の推進を図る活動
   4)学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
   5)職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
   6)以上の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

2.(事業の種類)
現行 1)精神障害者共同作業所の設立と運営を支援する事業
改定 1)精神障害者共同作業所の設立と運営に関わる事業

現行 2)の1)イブニングケア支援
改定 2)の1)イブニングケアに関わる事業

議案3)
■05年度活動報告と会計報告■
05年度の活動は2つの領域で大きく前進したと言えます。
第一に、地域助け合い事業としてのカルチャークラブの定着です。05年度歳末助け合い募金から年間15万円の助成金が交付され、さらに06年度は上回る28万5千円が決定していることは、杉並区行政(区民)からの評価・信頼の大きさを示しています。
カルチャークラブ:年間17回開催、延べ169名参加。イベントとしての10周年記念行事は47名が参加、シャンソンと薬膳を行いました。

第二に、NPO法人として広く活動展開することを視野に入れた、横浜野毛事務所での活動の本格的開始です。野毛イブニングケア:17回、延べ85名参加。野毛イブニングケアとして静岡権稲子に農園合宿(参加5名プラス現地3名)。これは稲子で精神障害者の為の転地療養宿泊施設「れんげ荘」に野毛イブニングケア利用者が畑見学もかねて合宿、れんげ草で育った精神障害者仲間と交流し、しばしの安らぎの時を過ごしました。

その他、
◇独自のバザー開催(杉並と横浜でそれぞれ1回、売上を作業所にしおぎ館に寄付)。
◇年末年始支援(お節の配達2箇所、新年会支援9名分)。
◇精神障害者ホームヘルプ(3名の利用者を対象に37回実施。これは区の訪問では出来ない部分のケアで行政サービスに繋げていくことも含めて重要です)
◇共同作業所支援、イブニングケア支援(作業所にしおぎ館イブニングケア支援としてメンバーの話し相手や相談など様々な支援を行ってきました。にしおぎ館イブニングケア支援143回、横浜「なんでも舎」さんで月一回開始しているイブニングケアへ訪問3回の支援、にしおぎ館メンバーとの合同忘年会)。
◇講座は横浜で4回
 4/10「介護保険が変わり、ケアマネはどうなる?」(14名参加)
 7/10「介護の仕事を始めて」(3名参加)
 10/10「障害者自立支援法を考える」(14名参加)
 2/5「医療制度構造改革を考える」(13名参加)
◇ホームヘルパー学習会2回
 9/11(4名)、10/30(8名)

◇作業所からの委託ということで移送サービスを考えていましたが、ドライバーの体制、利用者の開拓共に不十分で実施に至りませんでした。

議案4)
■06年度活動計画と予算■
06年度は作業所にしおぎ館が「障害者自立支援法」施行に伴う移行過程として、とても重要な一年になります。
07年度4月からを目標に、作業所にしおぎ館をNPO法人福祉の家が運営するように準備していく一年になります。そのための定款の整理・改定、補助金などの研究・開拓、会の基盤である会員の拡大、地域・社会の周知・広報など、福祉の家という地域拠点を維持・拡大していくために、本当に力を合わせていかなければなりません。「どうすれば福祉の家とにしおぎ館を無くさないで続けていけるか」を考えながら行動していきましょう。

 1)3つの柱の再確認
 2)平和・人権・雇用・文化を加える
 3)主体的担い手をどんどん増やしていく。受け皿の準備(カルチャー、講座、相談など)、開館日を増やしていく。
 4)会員を増やす。賛助会員も増やす。お弁当利用者への勧誘。
 5)普及・啓発の充実
 6)事務局体制の強化
 7)野毛事務所の充実
 8)新事業開拓 何が可能か。
 9)就労支援、障害者雇用
10)理事会の充実、学習会

議案5)
■役員の選出■

以上のすべての議案が了承されました。