『イブニングケア』

創刊号(05.4.17)

10年たった今、初心を忘れずに

1995年5月に杉並・西荻の商店街にオープンした福祉の家「西荻館」は、一人のホームヘルパーが、高齢者と地域の人達の協力を得て、働く拠点を作り上げるという挑戦でもありました。店舗型の介護ステーションは現在より広い場所に移転し、精神障害者の共同作業所として引き継がれ、福祉の家もまた昨年NPO法人福祉の家として再出発しました。10周年を迎える今、石原都知事の福祉切り捨て、介護保険という「うらぎりの介護」制度のさらなる改悪など、介護・福祉を受ける者からも働く者からも、生きる権利を奪うようなすさまじい嵐が吹き荒れています。10年前に掲げた三つの理念は、今こそその実践が求められています。

1、福祉の逆行を許さず、必要な人に必要な福祉を・・・自治体で働く仲間と手を結び、地域の声を行政に届けましょう。
2、介護者が疲れていては良い介護は出来ません。介護の仕事の大切さを訴え、正しい評価を得られるようにしたい・・・高齢者---労働者---地域の共同の力で地域福祉を実現しましょう。
3、どんな人間も等しく尊ばれる社会を・・・差別しない、排除しない福祉をめざしましょう。

NPO法人福祉の家05年会員総会のお知らせ

6月11日(土)12時から
会場 作業所にしおぎ館
福祉の家設立10周年の集いを同日2時より行います。

10周年イベント シャンソンとフレンチ薬膳
参加・支援チケット 1,000円
購入をよろしくお願いします。

福祉の家カルチャークラブにどうぞ
社会福祉協議会(歳末助け合い事業)から助成金が交付される

カルチャークラブが始まって半年です。麻雀や茶道、朗読なども定着してきたようです。今年度は講師の謝礼として助成金が認められました。活動の幅も広げましょう。4月25日は今年度の活動内容について話し合います。みなさんの参加をお願いします。

4月25日(月)午後1時から4時
会場 作業所にしおぎ館
秋元さんの朗読「山桜」を予定
(マージャン、お茶もあります)
参加費 500円(正会員は200円)

一緒に担ってくれる方(送迎やお茶の準備)お願いします。

ヨコハマ野毛町イブニングケア
   ***食事・お風呂・相談***

野毛で初めてのイブニングケア(2月21日)は4名の参加。2回目(3月21日)は6名。あなたも参加しませんか?連絡下さい。

3回目 4月18日(月)17時〜19時
会場 キャッスル桜木1004号室(横浜市中区野毛町2-81)
予約をお願いします(045-264-1253)
夕食代 500円
お風呂 200円

5月からは月2回の予定
5月は2日(月)、16日(月)17時からです。

イブニングケアは精神障害を抱えた人、家族、介護者などを対象として夕食時のケアで、福祉の家は8年前から続けてきました。この度横浜で始めました。

私達の職場はどうなるの
   突然の事業所閉鎖「それって、解雇?」

学習交流会の報告 4月10日(日) 於 横浜女性フォーラム

福祉の家・神奈川連絡会の学習交流会も19回を数えます。今回は、ケアマネージャーとして横須賀で働く後藤礼子さんのレポート「介護保険の大幅見直しで私たちの働く現場はどうなるの」です。前回(1月30日)にこのテーマを決めましたが、それ以降、彼女の職場で大変な事態が起こったのでした。それは「ヘルパーステーションの閉鎖による職員の解雇」という問題です。学習交流会には当該の労働者4名が参加しました。

学習会の参加者は、全体で14名。後藤さんの職場の4名以外に横浜や鎌倉でホームヘルパーを働いている仲間、横浜で介護事業所を開いている人、寿町で働く男性、川崎の野宿者支援の職員の竹野さんなど。それぞれ初対面の人も多く、自己紹介から始めました。

次に高橋の方から、この間、厚生労働省・社会保障審議会保険部会報告「介護保険制度の見直しに向けて」を紹介、分析報告しました。

後藤さんは自らのケアマネージャーの実践から、次のように報告しました。「見直しでケアマネージャーがニーズを掘り起こすから介護保険が足りなくなったとか、ヘルパーがお世話しすぎるから要介護度が上がったというような言い方をしているが、信じられない。お年寄りは大体なかなか援助を受けたがらないのです。デイケアなんかも行きたがらない。そこを何度か話して信頼を築いて、やっと介護を受けられるようにする。訪問に入って要介護度が上がった例なんて、うちではありません。」

参加者のほとんどが現場の人たちということもあり、論議はつきません。寿町の介護の現実や自治体との間で切り開いてきた地平の紹介。自ら事業所を立ち上げ、人間らしい介護と労働者の立場に立った経営を追求している女性の報告にも「納得」のため息。質問も飛び交います。

ここで全てを紹介できませんが、介護の現場のリアルな内容が後をたちません。休憩をはさんで、後藤さんの事業所に起きた問題を話し合いました。突然の事業所閉鎖と一方的な解雇通知に、職場の4名は地域にある労働組合に相談に行き、その場で加盟。経営者側との団体交渉を行いました。事務職の男性は「会社に対して労働組合というのはこんなに力になるのか、すごい」という発言。他の職員も自らに降りかかってきた「解雇」という事態に、おそらく初めて「自分が労働者だ」という自覚のようなものが芽生えたのではないでしょうか。後藤さんは「私は解雇には納得いかない。これからも解雇を認めないでたたかう」決意を固めています。今回の学習交流会は、後藤さんのこれからのたたかいをみんなで支えていく出発点にもなりました。また他の職員たちも同じ介護・福祉を働く者同士、これからも共に学習し、連帯していこうと確認しました。後藤さんの事業所のようなケース「閉鎖・解雇」はこの介護保険の見直しの中で今後頻繁に起きていくことが考えられます。民営化・買収・職場の喪失という事態の中で犠牲になるのは、介護を受ける利用者、そして働く労働者です。

今回、チラシの掲示を見て初めて参加したヘルパーの女性がいます。次回(7月10日予定)はその女性が自分のホームヘルパーの内容を報告することになりました。