『イブニングケア』

2号(06.4.23)

社会保障制度を解体しようとする国の政策に抗し、私たちは、必要を、自由を、人権を訴え、実現しよう

福祉の家「西荻館」開設から十一年。私たちは地域に根ざした手作りの介護福祉の実現に向け、実践を重ねてきました。 「食事サービスと介護のお店です」の看板。夕食配達は、現在作業所にしおぎ館のメンバー作業に受け継がれ、なんと、お弁当の配達を担うメンバーは十名を越えています。東京都が先駆的事業として認めたイブニングケアは、横浜でも開催、精神障害者当事者や家族、そして働く仲間の交流相談の貴重な場になっています。 介護と言えば、私たちが当初より懸念してきた介護保険はますます改悪され、生活や必要、人間性からどんどん遠ざかっています。四月から施行された「障害者自立支援法」の下、共同作業所の存続は闘いそのものです にしおぎ館のワークショップ(3月11日)では、(一) 初心をわすれず  (二) 作業所を自由の出撃拠点に (三) 私たちの価値観の想像を (四) もっともっと目立っていこう (五) 団結しよう  と誓いあいました。 NPO法人になったことの真価が問われる一年になります。力を合わせて、頑張りましょう。

NPO法人福祉の家06年会員総会のご案内

6月10日(土)10時半から
会場 作業所にしおぎ館
議題 *2005年度活動報告、決算
   *2006年度予算、活動計画
   *理事・監事選出
   *その他

午後は作業所開館日です。作業所の人たちとの交流を予定しています。

会費納入のお願い
会費納入未だの人は、総会までに是非
未だ会員でない方も是非
  正会費  1年6,000円
  賛助会費 一年一口1,000円

カルチャークラブに参加しませんか
月2回のカルチャークラブが充実しています。
健康マージャン、茶道、朗読に加え、今年度は介護・福祉の学習会なども予定。
杉並区社会福祉協議会から助成金が交付されました(今年度28万5千円)。講師の充実、マージャンテーブル購入なども出来そうです。

5月は8日(月)・22日(月)
6月は12日(月)・26日(月)
午後1時から4時
会場は作業所にしおぎ館です
参加費は正会員と作業所メンバー200円、その他500円

ヨコハマ野毛町イブニングケア
   ***食事・お風呂・相談***3回目 4月18日(月)17時〜19時

イブニングケアは精神障害を抱えた人、家族、介護者などを対象として夕食時のケアで、福祉の家は8年前から続けてきました。この度横浜で始めました。

会場 キャッスル桜木1004号室(横浜市中区野毛町2-81)
予約をお願いします(045-264-1253)
夕食代 500円
お風呂 200円

5月は15日(月)、6月は5日(月)・19日(月)
午後5時から7時

4月17日の利用者は
三浦半島に住んでいる男性。21差異から41歳までの20年間を病院で過ごしたということです。仕事をして自立の生活。「自分のような者の話しをゆっくり聞いて欲しい。家では・・くどい・・と怒られる。あまりしつこい時は止めてほしい」。病院の看護師さんも一緒の参加です。これからもよろしく。

2月5日神奈川医療・福祉・介護労働者学習交流会レポート

テーマ一、解雇攻撃と日々たたかう後藤さんを支えよう
テーマ二、医療制度構造改革批判

2月5日の神奈川医療・福祉・介護労働者学習交流会は、様々な働く職場から13名(プラス2名の子ども)の参加で、とても熱心な学習・交流になりました。
冒頭会を主催する高橋(NPO法人福祉の家)が22回を数えたこれまでの経緯、とりわけこの一年間の取り組みを紹介。横須賀の民間事業所でケアマネージャーを働いている後藤さんにかけられた、突然の事業所閉鎖・解雇の攻撃に対し、一年経った今も解雇を撤回して職場に通い続けているたたかいを全力で支えていくことを訴えました。

前半は、参加者全員が自己紹介しました。病院勤務で自治労の役員の人に始まり、精神病院看護師、精神障害者グループホーム職員、精神科デイケア勤務の精神保健福祉士の男性。昨年、後藤さんと一緒に解雇を通告され、今失業中の女性と現在の医療・福祉職場の実態とともに自己紹介が続きます。今回初めて参加した男性は、四年前難病を発病、自らが「障害者」となってから、学校に行き、社会福祉士の資格を取得、老人ホームに勤めているということでした。

一年前、突然の解雇通告を撤回してケアマネージャーとして出勤し続ける後藤さんにヘルパーさんたちが合流
次に、合同労組かながわに加入し、会社との交渉を重ねて解雇を撤回してたたかう後藤さんと、合流して会社への要求を突きつけた登録ヘルパーさんからの報告です。
後藤さんは、会社からの突然の呼び出しで「事業所を閉鎖する」という通告に納得がいかなかったので、はじめは地域の労働組合に加入、会社との交渉を重ね、今は合同労組かながわに入って交渉していることを報告しました。「組合に入ってみて、その重要さを身にしみている。自分のたたかいは同じ介護を働いている仲間にとっても大切だと思う。私は解雇は許せない。一方的に止めさせられるのなんて認められない。止めるとすれば、自分の止めたいときに止める」
登録ヘルパーとして働いていた女性は「私は女性ですので、集ってもぐちを言うとかしかできなく、何か手段を持って行動をおこすとか、それ以上の要求をするとか考えられなかったけれど、今回、合同労組かながわの人たちに出会って、お世話になって、自分の仕事が社会的にもきちんと位置づけられているという認識を持つことが出来ました」と話してくれました。
合同労組かながわの佐久間委員長は、寿の港湾・日雇い労働者として、労働者を組織してきた経験から、現在の非正規労働者の置かれた境遇に対して、労働者の原点としての階級性に立って戦うことを強調しました。又、医療制度は、時の政治、もっと言えば戦争政治と密接していることを精神病者への医療施策からも見てとれると訴えました。

第二部
講師山部明子さんから「医療制度構造改革といかにたたかうか」の提起をうけました。
一)はじめに  一月からの通常国会で審議されている医療制度改革関連法案は、戦後社会保障制度の柱である公的医療の解体であり、生存権に関わる重大な攻撃です。小泉政権は01年の登場以来毎年のように労働者への負担増を強行、社会保障解体を激しく推進しています。賃下げ・解雇が日常化し、自殺者が続出しています。民営化は世界的な流れで、「原則自由」という資本にとっての自由が横行し効率化の合唱の中、犠牲になっているのが人命です。昨年の十一月集会(11/6日・米・韓国際労働者集会、日比谷野音)でソウル大学病院労組の医療労働者が表現した「民衆の健康を市場に投げ出す」攻撃です。人の命をあずかる医療・福祉・介護労働現場こそ、「たたかいなくして安全なし」です。労働者の生活と権利を守るために、労働組合のもと団結を強め、拡大しましょう。
二)医療制度改革は公的医療保険制度を根幹から解体します。健康保険法は「必要な医療を、患者に、現物(医療)で給付する」原則にたって医療の平等性を保障してきました。今回この原則をかなぐりすて、「総括管理」「定額制度」「包括医療」「混合医療」「保険免責制」などをもって医療に市場主義を持ち込み、患者負担の大幅増、保険外医療の拡大を図ろうとしています。命を選別し、貧困者が医療を受けられなくしていきます。まさにアメリカ型の医療制度にしようとしています。
具体的にみていきますと、・「病気は自己責任」として予防を強調し、健康を国民運動として展開する。
・医療費適正化と称して入院日数の短縮、ベッド数の削減、公的保険給付の見直しなど・七五歳以上の新高齢者医療制度の創設
・診療報酬の引き下げ
介護保険制度導入に伴い、国民健康保険料未納者がどんどん増えていますが、今後健康保険に入れず、必要な医療が受けられない人が急増するでしょう。医療の現場で働く労働者にはますます過酷な労働条件がおしつけられるでしょう。
攻撃の質を暴露し、労働者は団結し、労働組合を作り、強めましょう。
医療・福祉労働者のたたかいは、戦争・改憲・大民営化とのたたかいです。動労千葉の「民営化反対、反合理化、運転保安闘争」が手本です。

病院職場で働く労働者から
山部さんの提起を受けて、実際に病院職場に働く労働者から報告をうけました。精神病院で働く若い職員は「スタッフの入れ替わりが早い。給料も安く一年で止めていく人が多い。仕事をしていて職場に夢がないのでは」と話していました。これは労働組合の組織率の低下とも関連があるのではないでしょうか。

重要なことは、このような攻撃とどうたたかうのかということです。
「今回の学習交流会を準備するにあたって、私は、解雇通告に対して独りでもたたかいい続けている後藤さんを全力で支えること、職場で起こっていることを社会的に紹介し、仲間の団結を強めていくことが重要と考えました。三四年間解雇撤回をたたかって、全員の現職復帰をかちとった仙台の全金本山労組のスローガンに・職場に砦を、地域に共闘を・という素晴らしいスローガンがあります。今こそ、本当に職場に砦がなくては働き続けていけません。一人の労働者にかけられた攻撃をあいまいにしないでみんなで反撃しましょう。小さな集まりでも、繰り返し繰り返し続け、団結を作っていくことが重要なのでは」とまとめとして高橋からの発言にしました。

次回は、五月二八日、テーマは「公務員制度改革とどうたたかうか」レポーターは自治労横浜・自治体政策部長の鈴木登さんに決まりました。
公務員制度改革は、医療・福祉・介護を働く私たちにとっても直接関わってきます。民営化こそが、医療・福祉・介護切捨てにつながっていくからです。

会場を出て、交流会へ
 ほとんどの参加者が交流会に参加、今回の出会いに乾杯しました。
 次回はもっと多くの人たちが参加して欲しいですね

次回学習交流会は5月28日
第23回神奈川医療・福祉・介護労働者学習交流会

「公務員制度改革は、医療・福祉・介護現場に何をもたらすか」
   レポート 鈴木登さん《横浜市立病院・労働組合執行委員長(自治労横浜)》

5月28日(日)13時30分から16時30分
会場 横浜女性フォーラム セミナールーム2
  (男女共同参画センター横浜)
   託児サービスあります(フォーラムに直接連絡を)

*福祉事務所のケースワーカーが民間の派遣社員になったら・・・生活保護の相談はどうなるの?
*病院がみんな利益誘導の儲け主義になったら?
*「障害者施設」などの職員がどんどん減らされ重度「障害者」の暮らしはどうなるの?

公務員の削減は良いこと、と考えていませんか?
自治体労働者の団結と権利が壊される時、私たちの命と生活の隅々にいたるまで大変な事態が待っています。
一緒に考えていきましょう。

主催 NPO法人福祉の家・神奈川連絡会
共催 合同労組かながわ

ホームヘルパーの仕事を再開しました
どこかの事業所に所属しての仕事となると十年ぶりぐらいでしょうか。去年ケアマネージャーの資格を取得、そして今年四月からは、介護保険制度も「障害者」支援制度も大きく変わっていこうとしている状況の中で、私も、介護の原点を忘れないよう、現場に身をおきながら今の介護福祉の問題をえぐっていこうということです。何よりも、介護は、利用者の肉体に直接触れてコミュニケーションを作り上げていく、という基本を忘れては、介護が腐ってしまいそうだったからです。
理由はもっとあります。作業所からの給料だけでは、生活できないのです。作業所の補助金アップは絶望的。にしおぎ館の職員三人は、自分自身の人生設計や生きがいの為にも、今年度は、「減給し、休暇を増やす」という決断をしました。
三月から、週二回、一回三時間を介護訪問に当てていますが、とっても新鮮。やはり介護は楽しいです。
しかし、しかしです。仕事の大変さに比して賃金の安さ。例えば、一時間の介護に一時間かけて出かけ、賃金が千円ちょっととは(所属した事業所は身体介護一時間1170円)。
私が、福祉の家の活動を開始した大きな理由にホームヘルパーなどの介護労働者の働く環境改善と、仲間の団結があります。働く私たちの健康、生活があってこそ、人間的な介護ができるのです。孤立し、悩み、そして身体と心を壊していく仲間たちの何と多いことか。気を引き締めて取組みましょう。(高橋道子)