国家公務員試験(林産分野)
問題と解説
1995,5,22
木材工学 河村進 編
1996,6,21
WWW版Release
林産職の受験準備をされた方々が代々伝えられてきた問題およびその解説(一部)をまとめました。たぶん国家公務員I種(林学)の問題から、林産分野を集めたものと思われます。立派な解答及び解説が付属していますが、間違っているところがあるかもしれません。編者自身も気づいたところは手を加えたり修正しましたが、もし違っていても責任は負いかねますので、気をつけて使ってください。
間違いを発見された方は以下のメールへ
susumuk@fa.mbn.or.jp
(2004/4/27追記)
なお就職活動中の方より毎年のようにメールをいただきますが、ここに書いてある内容以外(例えば就職に関する)問い合わせには一切返答できません。あしからず。
問題編
1.アテ材に関する記述のうち、最も妥当なものは?
(1)アテ材は直立することが常態である幹が斜立した場合に出現するが、枝は斜立、または水平に伸長するのが常態であるため、枝にアテは生じない。
(2)針葉樹の斜立した幹では軸方向への圧縮応力によって幹を直立した位置に押し起こそうとする圧縮アテ材が軸の下に形成される。
(3)一般に圧縮アテ材は正常材に比べてリグニンが少なくセルロースが多い。
(4)圧縮アテ材は仮道管壁が異常に厚くなっているために同じ比重の正常材に比べ、ヤング率、曲げ強度、衝撃強度、縦引張り強度が強い。
(5)広葉樹に見られる引っ張りのアテ材は正常材に比べて道管が大きく数も多くなっている上、放射組織と軸方向の柔組織も著しく変化している。
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2.次の文は木材に生ずる欠点に関する文である。それを示す用語として正しいものはどれか。
「木材の乾燥速度が速すぎる結果として木材内に生ずる不正常な状態であり、異常な収縮をした木材の中心部と外辺部との最終変形量に変化が生じているために含水率はほぼ等しいにも関わらず、木材内に乾燥応力があることが特徴」
(1)落込み(2)胴打ち(3)表面硬化(4)脆心(5)もめ
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3.木材の傷(欠点)に関する記述として最も妥当なものはどれか。
(1)アテは針葉樹では斜立した幹の下側に現れ、その部分は正常な材に比べ重厚であるが、もろく、リグニンの含有率が低く、セルロースの含有率が高い。
(2)髄から放射組織に沿って放射状に生じた割れを目回りといい、風、凍害、乾燥、伐採時の衝撃などが原因となって起こる。
(3)立木の成長過程で強い風圧などを受けると繊維方向に対して直角方向の小さな破壊線が材面に現れることがあるが、これを「ねじれ」という。
(4)節は材面に現れる枝の切断面であり、節の組織と樹幹材の組織の間の枝の樹皮部分があるのを生節、節の組織と樹幹材の組織が連なっているのを死節という。
(5)変色は材が正常な色彩と異なることをいい、その原因には菌類の侵害や木材物質の化学変化があるが、前者の例としてマツ類の青変色、ブナの褐変色があげられる。
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4.針葉樹材と広葉樹材について正しいものを選べ。
(1)針葉樹材は広葉樹材よりも組織が複雑で道管が年輪に沿って存在し、広葉樹材では仮道管がこの役割を果たす。
(2)リグニンは二次膜に存在し一般に針葉樹材の方が広葉樹材よりも含有率が高く、木材中には25〜30%含まれている。
(3)木繊維は広葉樹だけに存在し、材の強度を高めるのに役立っている。針葉樹では仮道管がこの役割をする。
(4)木材組織中では横方向に連絡しているのは放射組織だけであり、放射方向での養水分の通路になる。
(5)広葉樹は樹種によって道管の配列が異なり、年輪に沿って道管が配置するものを散孔材という。
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5.最も妥当なものはどれか。
(1)木材の収縮、膨張は接線方向が大であり、次いで半径方向、繊維方向の順である。
(2)木材の含水率が繊維飽和点、すなわち細胞壁が結合水で飽和されて細胞内腔に自由水がない状態より変化すると木材は膨張を始め、またその強度も大きく変化する。
(3)木口割れは繊維に平行な方向よりも直角な方向の方が水分移動がはるかに大きいことから、木口面が速く乾燥し、圧縮応力を生ずるために起きる現象である。
(4)木材を乾燥するとき、水分は表面から蒸発することから水分傾斜が生じ、外層に圧縮応力、内装に引張り応力を生ずるために乾燥前半に内部割れを生ずる。
(5)木材の平衡含水率が吸湿過程と脱湿過程で異なる現象をヒステリシスといい、脱湿過程より吸湿過程の方が高い含水率で平衡となる。
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6.用材の欠点に関する記述として妥当なものはどれか。
(1)あて:通常、偏心成長に伴って現れる異常材で、針葉樹、広葉樹ともに傾斜の下側や風下側の圧縮側に生じ、正常材に比べて木化度が高いため材質は重厚でもろく、繊維方向の収縮が著しい。
(2)変色:変色菌の侵害や木材物質の化学変化によるもので、針葉樹の褐変やブナ材の青変などがよく知られる。変色した材の強度は著しく低下しており、工芸的価値も低い。
(3)節:材面に現れる枝の切断面であり、節の組織と樹幹材の組織が連なっているのを死節といい、両組織に連絡がなく、その間に枝の樹皮部分があるのを生節という。
(4)目回り:強風による幹の動揺や樹幹内の不均一な内部収縮のためにできる年輪方向の割れであり、年輪幅が急激に変化している部位や、やにすじなどが発達している部位に生じやすい。
(5)もめ:強風や積雪などで曲げられた際に生じる圧縮破壊の部分であり美的価値において劣るものの通常癒着組織が発達してその部分を包み込んでいるため、材の強度に影響はない。
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7.木材組織及び細胞に関する記述として最も妥当なものはどれか。
(1)木繊維は両端の先鋭な紡錘状の細胞で、もっぱら樹体を強固に維持する役割を果たし、広葉樹材だけ存在する。
(2)仮道管は針葉樹材の主要構成要素で針葉樹にのみ存在し、水分の通導と樹体の維持の役割を果たしている。
(3)広葉樹材のうち比較的大きい道管が年輪の内側に沿って円周状に配列しているものを散孔材といい、クリ、ブナなどの材がこれに該当する。
(4)針葉樹材の柔細胞には樹脂を含んでいるものがあり、これを樹脂細胞と呼んでいる。樹脂細胞はアカマツ、エゾマツなどに存在するが、スギ、ヒノキには存在しない。
(5)放射組織(射出線)は樹液の水平方向の通路となっており、針葉樹材には二列ないし数列の細胞幅からなる複合放射組織である。
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8.木材の組織に関して妥当なものはどれか。
(1)すべての針葉樹に存在する最も基本的な構成要素とは、仮道管と樹脂道で、広葉樹には存在しない。
(2)広葉樹の構成要素は針葉樹に比べて種類が多く、針葉樹の仮道管の機能は広葉樹では道管と木繊維が果たしている。
(3)針葉樹放射組織が放射柔細胞のみによって構成されているのに比べて、広葉樹は放射柔細胞の他に放射仮道管を持っている。
(4)針葉樹では軸方向柔組織が発達し、その出現の型も多様であるが、広葉樹ではあまり発達せず、樹脂細胞が散在的に認められる。
(5)針葉樹のうち特徴的な配列様式を持たないで仮道管が分布しているものを散孔材といい、アカマツ、クロマツが該当する。
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9.木材の物理的性質に関して最も妥当なものを選べ。
(1)木材の強度は、繊維飽和点以下では含水率が低いほど大きく、繊維飽和点以上では含水率が高いほど小さくなる。
(2)梁が上方からの曲げの力を受けると上方に圧縮応力が働き、下は塑性領域に入り、中立軸は引張り側に移動する。
(3)針葉樹材では繊維方向に平行にはたらくせん断に対する強度は一般に柾目面より板目面の方が小さい。
(4)木造構造設計基準においては、構造用材の許容応力のうち圧縮、引張り、曲げ、せん断の値はヒノキ、カラマツよりスギ、トドマツの方が大きい。
(5)我が国に産する針葉樹材の圧縮に対する強さは引張りの対する強さの概ね1.5〜3.0倍である。
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10.木材の化学的性質に関する記述として妥当なものはどれか。
(1)木材の化学的組成は樹種によって異なり、セルロースとヘミセルロースが概ね9割以上を占め、残りをリグニン、タンニンなどの抽出成分で占めている。
(2)セルロースは白色、無味、無臭であり、水には溶けないが、希アルカリ、希酸、アルコールの溶媒に容易に溶け、マンノースとなる。
(3)リグニンは炭素、水素、酸素から成り立っており、そのうち炭素を多く含む安定した高分子化合物であるため、変質させることなく容易に分離することが可能である。
(4)ヘミセルロースは針葉樹材よりも広葉樹材に多く含まれており、一般に酸で処理すると容易に加水分解してペントースなどを生ずる。
(5)木材を熱分解すると初めに200℃前後からリグニンが分解し、次いでヘミセルロースが分解し、最終的には400℃前後でセルロースが分解する。
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11.木材の組織に関する記述として妥当なものはどれか。
(1)針葉樹材の仮道管は両端のとがった細長い紡錘形の中空管状の細胞であり、針葉樹材を構成する要素の中では一般に木柔細胞に次いで多い。
(2)道管は水分通導作用を受け持つ細胞群で、針葉樹材、広葉樹材ともに見られ、一般に針葉樹材では散孔状、広葉樹材では環孔状に配列している。
(3)広葉樹材の木繊維は道管に次いで多く、樹体の軸方向及び水平方向に配列されており、主として樹体の支持機能を受け持っている。
(4)針葉樹材の木柔細胞は主として栄養物または老廃物の貯蔵作用を受け持ち、仮道管の長軸に直交して並び、長さが短く、細胞壁は薄く、木化しているものが多い。
(5)放射組織は貯蔵組織としての役割を持ち、針葉樹材では、単列放射組織が多いのに対し、広葉樹材では2列以上の放射組織が多く見られる。
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12.木材の物理的性質に関する記述として妥当なのはどれか。
(1)木材は含水率が高まるにつれて徐々に膨張し重量も増してゆくが、繊維飽和点を境にして、それらの変化がほとんど見られない。
(2)木材の含水率を高めてゆくと、ついには細胞間隙などが自由水で満たされ、自由水の形では吸収できない極限に達する。このときの状態を繊維飽和点という。
(3)木材の平衡含水率は同一材料であっても脱湿過程か吸湿過程かによって異なり、一般に脱湿過程においては吸湿過程よりも高い値を示す。
(4)含水率の高い木材を乾燥するとまず表面から水分が蒸発して水分傾斜が生じ、表層では圧縮応力、内層では引張り応力が生ずる。このため乾燥初期には内部割れが発生しやすい。
(5)木材の収縮・膨張は繊維方向が最大であり、次いで半径方向、接線方向の順であり、繊維方向は接線方向に比べ、5倍程度の収縮・膨張率を示す。
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13.木材の物理的性質に関する記述として妥当なのはどれか。
(1)全乾状態の木材を大気中に放置すると、初めに木材中の自由水が増加し、ついには水分と蒸気の形では吸収できない極限に達する。このときの含水率は繊維飽和点と呼ばれており、一般に12〜20%程度である。
(2)木材の平衡含水率は、吸湿過程と脱湿過程とでは異なり、前者においては後者におけるよりも常に高い値を示す。この現象は等温での吸・脱湿においてみられるが、等湿での吸・脱湿においては見られない。
(3)木材の縦圧縮強さ、電気伝導度などの性質は、含水率とともに変化するが、気乾含水率以上では吸収される水分は細胞内腔および細胞間隙に入る結合水であるため、これらの性質は一定となる。
(4)木材の収縮・膨張は細胞壁中の水分の変化によるものであり、含水率1%の変化に対する容積の平均収縮率及び平均膨張率は比重が大きいほど高くなる。
(5)木材を乾燥すると、乾燥の初期には外層は圧縮応力、内層は引張り応力を受け、後期には外層は引張り応力、内層は圧縮応力を受ける。そのため初期に内部割れ、後期に表面割れ、木口割れの危険を生ずる。
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14.次の記述の中で最も妥当なものはどれか。
(1)木材の強度は木材中の水分の増減によって変化するが、自由水の増減による影響は受けない。
(2)含水率を一定にして木材の温度を高めると、その木材の強度は温度が上昇するにつれて大きくなる。
(3)木材の強度におよぼす節の影響は圧縮強度において大きく、これに比べて引っ張り強度においては、はるかに小さい。
(4)木材中における水分は木材の密度を高め、木材の圧縮強度を強める役割を果たしている。
(5)通常の生育をした通直な幹の横断面では、地上高に関係なく、髄から外方の10〜15年輪までの部分に強度の劣る未成熟材部が見られる。
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15.リグニンに関する記述の中で最も妥当なものを選べ。
(1)木材中のリグニンの含有率は40〜50%に達しており、一般に針葉樹より広葉樹材の方が高い。
(2)リグニンを構成する元素はセルロースと同様、C・H・Oであるが、セルロースに比べてCが少なく、Oが多いという差異が見られる。
(3)リグニンをフェノールで処理すると黄色の呈色反応を示し、アニリンで処理すると緑青色の呈色反応を示す。
(4)プロトリグニンは化学反応に鋭敏であるため、分子の崩壊や化学変化を与えずに単離する事が困難である。
(5)リグニンは安定した高分子化合物であるため、化学的な分解が困難なうえ、菌類によっても分解されない。
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16.木材の保存に関する記述として妥当なものは?
(1)木材の腐朽は水分または温度がある一定条件下になったときに起こり、水中貯木は木材含水率を50〜100%の範囲にとどめるので、木材の腐朽を防止するのに効果がある。
(2)浴室や温室など高含水率状態で見られる軟腐朽は菌類によるものではなく、高湿度のためにセルロースが軟化溶解することにより生ずる。
(3)褐色腐朽は褐色腐朽菌に属するある種の担子菌類が主として木材のセルロースを分解することにより生ずる。
(4)ヒバ材は腐朽に対して強いことが知られているが、これは材中に殺菌作用を有するリグニンが多く含まれていることによる。
(5)木材の食害虫には、海虫類のフナクイムシ、昆虫類のヒラタキクイムシ、シロアリ類があり、これらはいずれもセルロースを消化できないため、不消化物として排せつする。
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17.木材加工に関する記述として妥当なものはどれか。
(1)集成材では張り合わせる挽き板などの接着力を高めるためその繊維方向を直交させ、相互の被着面を粗くし、また極力比重の異なる樹種を用いる。
(2)ファイバーボードは原料木の圧縮強度を基準にし、その強度以下のものを軟質繊維板、2倍以上のものを硬質繊維板、その中間のものを半硬質繊維板としている。
(3)パーティクルボードの製造においては繊維を軟化させるため、小片の含水率を50%程度にまで高め結合剤を添加した後、熱圧をくわえて含水率5%程度の製品とする。
(4)合板に使用するフェノール樹脂接着剤とユリア樹脂接着剤を比較すると、前者は耐熱性、耐久性、耐水性に優れており、後者は使用が簡単で安価であるという特色がある。
(5)天然乾燥は設備などが人工乾燥と比べて安いという特色があるが、乾燥に長時間を必要とし、また含水率を35%程度以下に下げられないという欠点がある。
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18.キノコ及びその培養に関する記述として最も妥当なものはどれか。
(1)キノコは子のう菌類の属する嫌気性菌であり、日本をはじめ、中国南部、朝鮮半島などに分布している。
(2)キノコの榾(ほだ)木にはクヌギ、ナラ類、シデ類の他、多くの樹種が用いられるが、樹皮の厚い老齢木が最も適す。
(3)種菌の接種は原木の含有水分率が高いほど良好な結果が得られるので、原木の伐採直後に接種することが望ましい。
(4)キノコ用原木を伐採する場合には、樹幹内に養分が最も多く貯蔵される晩秋から翌春までの間に伐採することが望ましい。
(5)キノコの種駒は胞子を十分付着させたものであり、これを用いて接種すれば、第二次菌糸の支配による雑種の発生を防止することができる。
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19.椎茸の培養について最も妥当なものを選べ。
(1)椎茸は春期に発生するものをドンコ、秋期に発生したものをコーシンと呼び区別し、ドンコは生椎茸用に、コーシンは干し椎茸用に用いられる。
(2)椎茸は死物寄生菌でシイ、カシ、ナラ類を好んで寄生し、その生活史は胞子→子実体→菌糸→胞子の順である。
(3)接種の方法は胞子接種法、菌糸接種法に大別されるが、純粋培養種駒は胞子接種方法の一種であり、能率的で繁殖もよいので広く行われている。
(4)椎茸菌は酵素を分泌し、主にリグニン、ペントザンを分解、吸収して繁殖するもので、菌糸の成長には適度な温度と湿度が必要である。
(5)伐採時期は原木の含水率が高いほど接種によいため、夏の樹木の活動が活発な樹体内水分の流動期が適している。
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20.木材燃焼及び炭化に関して最も妥当なものは?
(1)木材引火点は約200℃、着火点は約260〜290℃、発火点は360〜450℃であるが、加熱時間が長くなると200℃でも発火することがある。
(2)一般に木材の発熱量は800〜1200cal/gであり、木炭の発熱量は2000〜2500cal/gである。
(3)木材を構成する主要成分のうち、セルロースは熱分解に対する抵抗性が最も弱く、リグニン、ヘミセルロースの順に抵抗性が強くなる。
(4)木材を炭化する場合、炭化温度が高くなるほど木酢液、木タール、木ガスの量が減少して木炭の収量は増加するが、木炭中の炭素含有量は低下する。
(5)木炭の電気接触抵抗は炭化温度が低いものほど小さいので、この性質を利用して電気式木炭精錬計が考案されている。
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21.パルプに関する記述の中でもっとも妥当なものはどれか。
(1)クラフト法によればほとんどあらゆる木材を原料にすることができるが、ワラ、タケなどの単子葉植物は用いることができない。
(2)クラフト法によれば樹脂の多い木材でも蒸解が容易であり、樹脂障害が生じることは少ない。
(3)クラフトパルプはサルファイトパルプに比べて叩解性はよいが、クラフトパルプから抄造した紙の強度はサルファイトパルプから抄造した紙に比べて小さい。
(4)クラフトパルプは未さらしの状態でも白色度が高く、未漂白のまま抄造し、新聞紙、雑誌用低級紙として用いられる。
(5)クラフト法の廃ガスは無臭であるが、廃液に含まれる薬品やリグニンの回収はサルファイト法に比べて困難である。
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22.木材パルプとその製造法に関する記述としてもっとも妥当なものはどれか。
(1)KPは硫酸塩法によって製造されるので、その原料は針葉樹に限られている。
(2)ソーダ法は木材をNaOHとNa2Sとの混液で蒸解する方法で、各種木材のパルプ化の方法として広く用いられる。
(3)サルファイト法は木材を亜硫酸と重亜硫酸カルシウムとの混液で蒸解する方法で、薬品の回収が容易であるという特徴を持っている。
(4)セミケミカル法は通常、蒸解薬液として中性亜硫酸塩を用いる方法で、ケミカルパルプよりもパルプ収率が高い。
(5)砕木パルプを多く配合した紙は、リグニン、樹脂、色素等がそのまま含まれているので変色しやすいが、紙質は強い。
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23.合板の製法に関する記述として最も妥当なものはどれか。
(1)ラワン、シナなどの低比重材については単板製造時における「毛羽立ち」を防止するために、原木の煮沸または蒸煮が行われている。
(2)単板を切削する場合に起こる「裏割れ」は単板の厚さを増すことによって防止することができる。
(3)ロータリーレースの刃は切削長に比例して磨耗するので、切削速度が速いほど使用時間を短くする必要がある。
(4)合板の厚さ、むらの修正や被圧検査のために行われる合板製造の最終工程は調板工程といわれている。
(5)コンクリートパネル用合板の製造に用いる単板は表面が特に平滑でなければならないので、スライザーによって切削されることが多い。
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24.ファイバーボードについて妥当なものはどれか。
(1)ファイバーボードは原料により、インシュレーションボード、セミハードボード、ハードボードに区分され、ハードボードは広葉樹だけを原料とする。
(2)一定の温度、及び湿度の大気中におけるファイバーボードの平衡含水率は比重が大きくなるほど高くなり、一般に木材の平衡含水率よりも低い。
(3)ファイバーボードは繊維が均等に配列されているので、含水率の変化により、ほとんど伸長せず強度も一定である。
(4)リグニンは熱圧成型の際の接着力を弱め、ファイバーボードの強度に著しい影響を及ぼすので、パルプ化の工程の際、脱リグニン処理が行われている。
(5)インシュレーションボードは多孔質軽量で断熱性能及び吸音性能が優れているので、室内の天井、壁面に用いられる。
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25.パーティクルボードに関して最も妥当なものを選べ。
(1)パーティクルボードのパーティクルは切削の場合は含水率の高いもの、破壊の場合は乾燥した材料を使う。
(2)パーティクルの形は接着時の接着面積の大きい立方体がよい。
(3)パーティクルは含水率の高いものの方がよい。
(4)パーティクルボードの強度は同じ材料なら比重の大きい方が強く、同じ比重では硬い材料の方がやわらかい材料よりもよい。
(5)パーティクルボードは木片を樹脂で圧縮したものであるから、たとえばユリア樹脂を接着剤にした場合は接着剤の最適接着温度より少し高い140〜160℃で圧縮する。
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26.木材組織に関する記述のうち妥当なのはどれか。
(1)仮道管は側壁に多数の有縁壁孔を有する細長い紡錘形の細胞で、水分の通導を行うとともに樹体を保つための機械的な支持を受け持っている。
(2)道管は側壁に多数の穿孔を有する道管要素が軸方向に連なった細胞群であり、その配列形式により、ブナ、ミズナラなどは放射孔材に区分される。
(3)真正木繊維は一般に細胞壁が厚く、有縁壁孔を有する細長い細胞で、針葉樹においては体積の90%以上を占める。
(4)柔組織は針葉樹だけに存在する組織で、平伏細胞、直立細胞及び方形細胞からなり、主として物質の貯蔵配分を受け持っている。
(5)細胞間隙は側壁に単壁孔を有する細長い細胞軸方向に連なった細胞群で、エピセリウム細胞から分泌される樹脂、ゴム質などの貯蔵を受け持っている。
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27.木材の水分に対する性質に関する記述として最も妥当なものを選べ。
(1)木材の水分吸収に最も関係の深い木材成分はリグニンであり、その含有率が増大するに伴い、吸着性は増大する。
(2)減圧や加熱などを行う人工乾燥によって強く乾燥された木材は吸湿性が増大する。
(3)湿度が一定であれば一定の相対湿度を空気中で、ある木材が達する平衡含水率はその木材がどのような含水率であったかにかかわらず一定値となる。
(4)一定の相対湿度のもとでは木材の吸湿性は温度が上昇すれば増大する。
(5)木材の膨潤収縮、電気伝導、強度などの含水率の関係において限界性や不連続性が現れる含水率から繊維飽和点を求めることができる。
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28.木材加工に関する記述として妥当なものはどれか。
(1)合板用原木の煮沸は比重の大きい木材の切削を容易にし、良質の単板を得るために行うものであり、針葉樹やラワンシナノキなど比重の小さい広葉樹では行わない。
(2)調板工程は合板製造の最終工程であり、合板の厚さむらの修正、割れ、節腐れなどの不良品検査及びその補修、サンダーを用いた仕上げ加工を行うものである。
(3)人工乾燥における後処理としては、乾燥した木材の各材の仕上がり含水率をそろえるためのイコーライジング、材中の内部応力を除去するためのコンディショニングがある。
(4)木材の接着力は、木材表面の孔隙に接着剤が侵入硬化するいわゆる接鎖力に支配されるため、材面の粗いほど、また比重の小さな樹種ほど大きくなる。
(5)ファイバーボードは比重によってインシュレーションボード、セミハードボード、ハードボードに分けられ、このうちインシュレーションボードは比重が最も大きく、壁、床などの建築板、キャビネット板などに用いられる。
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29.接着について妥当なものはどれか。
(1)木材の含水率が低いと接着剤が木材組織に浸透しいわゆる欠膠現象が起こるため、一般に接着は含水率が繊維飽和点のとき良好である。
(2)二つの樹種を接着する場合、接着力は比重の高い樹種に支配され、一般に木材は比重が高いものほど接着力が大きい。
(3)圧縮の目的は接着剤を均等にし、被着材を密着することであり、圧縮力が大きくなると接着力も大きくなるが、一定値を越えると接着力は低下する。
(4)二枚の板を接着する場合、繊維方向と接着力との間には密接な関係があり、繊維走行度が90゚つまり繊維が直交しているとき、接着力が最大となる。
(5)接着力は接着剤が木材表面の孔隙に侵入硬化し微細なクギ、及びスパイクのような働きをする。いわゆる投錨力により支配されるので、木材の表面が粗い方が大きい。
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30.木材の化学的性質に関する記述として妥当なのはどれか。
(1)セルロースは(C6H10O5)nで表される多糖類で、強酸の作用により完全に分解してブドウ糖を生じる。またある濃度のアルカリ溶液に対する溶解性により、α-、β-、及びγ-セルロースの三つに分けられる。
(2)ヘミセルロースは冷水、希アルカリでは抽出されないが、アルコール、希酸により容易に抽出される多糖類で、セルロースとともに植物の骨格を形成する成分である。また、木材中の含有量は樹種に関わらずほぼ一定であり、セルロースに次いで多い。
(3)リグニンは酸によって容易に加水分解され、ガラクトース、フラクトースを生ずる高分子無定型物質で主として木化した植物の細胞壁に存在し、ミクロフィブリルを構成する。
(4)針葉樹材において辺・心材の組成を比較すると、辺材は心材に比べて抽出成分にとみ、セルロース、リグニンの含有量は少ない。また、早・晩材の組成を比較すると、早材は晩材に比べてセルロース、ヘミセルロースの含有量が多い。
(5)木材の呈色反応は、セルロースがアミン類、フェノール類などの特定の試薬に対して特有の色を呈する反応で、このうち試薬としてフロログルシンを用いるモイレ呈色反応では針葉樹材は赤紫色を呈する。
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解答編
1.アテ材に関する設問
(1)枝にもアテは生じる。
(2)正解。
(3)リグニンが多く、セルロースが少ない。
(4)圧縮アテ材は、正常材に比べ重厚ではあるが、もろく弱い。
(5)引張アテ材(広葉樹)は道管の数は少ない。
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2.木材に生ずる欠点に関する設問。
(1)細胞の一部が平らにつぶれ、枝の横断面でその一部がくぼみ、糸巻型を呈し、極端なときには波形になるもの。落ち込みのおそれがあるのは水分の張力が細胞壁の変形に対する抗力以上になった場合、すなわち高温により細胞壁が柔軟になった場合に多い。
(2)伐木運材作業で幹が衝撃を受けて、材の一部にもめ様の破壊を生じたもの。
(3)乾燥によって生ずる内部応力。乾燥の速すぎる板は、表面は圧縮応力、内部は引張応力を受けたまま乾燥して硬化する。この状態を表面硬化と称している。正解。
(4)樹幹の中央部にあって強靱性に欠ける異常に脆弱な木材部を脆心と呼ぶ。樹木の肥大成長に伴い、生ずる成長応力が、長時間累積することにより、樹木部に起こる圧縮破壊が脆心の主原因と考えられる。
(5)強風、積雪などで幹に曲げ応力が働いたとき、折損が起こる以前に幹の圧縮側に圧縮破壊が生じ、癒着組織が発達してこれを包み込んだもの。木口面や皮付き丸太の表面からは識別できないが、強度や音響的性質を劣化させる。
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3.木材の傷に関する設問。
(1)針葉樹のアテ材はリグニンの含有率が高く、セルロースの含有率が低い。広葉樹ではその逆。
(2)題意は心割れの説明である。
(3)題意はもめの説明である。
(4)題意では「生節」と「死節」が逆である。
(5)正解。
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4.針葉樹・広葉樹に関する設問。
(1)針葉樹材には道管がない。
(2)リグニンは細胞間層と二次膜にある。
(3)正解。
(4)放射組織以外にも放射仮道管などがある。
(5)題意は環孔材の説明である。
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5.木材中の水分に関する設問。
(1)正解。
(2)自由水は強度、膨張には関与しない。
(3)水分移動は繊維方向の方が接線、半径方向より大きい。
(4)題意は表面硬化の説明であるが、乾燥前半は外層に引張り応力、内層に圧縮応力が生じ、表面割れを生じやすい。乾燥後半は外層に圧縮応力、内層に引張り応力が生じ、内部割れを生じやすい。
(5)高い含水率ではなく、低い含水率である。
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6.用材の欠点に関する設問。
(1)広葉樹では傾斜上側に生ずる。これを引張アテ材と呼ぶ。
(2)材質までは影響を及ぼさない。
(3)死節と生節の説明が逆である。
(4)正解。
(5)板に挽いたときの割れや折れに結びつくことがある。特に合板にしたときにちぎれる原因になる。
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7.木材組織及び細胞に関する設問。
(1)正解。
(2)針葉樹のみとは言い切れず、広葉樹では繊維状仮道管、シダ類では道管状仮道管が存在する。
(3)題意は環孔材の説明であり、ブナは散孔材である。
(4)スギ、ヒノキにも存在する。
(5)複合放射組織とはブナなどに見られる、小さな放射組織と大きな放射組織が混在する場合の、大きな放射組織をいう。針葉樹は放射組織の発達が著しくなく、一般には細胞が軸方向に1列に並んだ単列放射組織である。
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8.木材の組織に関する設問。
(1)広葉樹にも仮道管がある。
(2)正解。
(3)針葉樹放射組織には放射仮道管もある。逆に広葉樹は放射柔細胞のみ。
(4)針葉樹と広葉樹の説明が逆。
(5)散孔材、環孔材は広葉樹材のみ。
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9.木材の物理的性質に関する設問。
(1)木材強度は含水率が繊維飽和点を越えると一定になる。
(2)正解。
(3)板目面の方がわずかながら柾目面より強い。
(4)スギ、トドマツの方が大きい。
(5)圧縮強さは引張り強さより低い。比にして1/4〜1/2程度。
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10.木材の化学的性質に関する設問。
(1)セルロース、ヘミセルロース、リグニンの3種で全体の9割を占める。
(2)セルロースはグルコースに変わる。マンノースに変わるのはヘミセルロースである。
(3)分離することは非常に困難である。
(4)正解。
(5)200℃前後でヘミセルロースが分解する。250℃程度でセルロース、リグニンは約500℃。
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11.木材の組織に関する設問。
(1)仮道管は最も多い要素であり、針葉樹材の90%以上を占める。
(2)散孔・環孔材が両方あるのは広葉樹材。道管は広葉樹のみに存在。
(3)広葉樹では占有率最高なのは木繊維。
(4)題意は放射組織の説明である。細胞壁は木化しない。
(5)正解。
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12.木材の物理的性質に関する設問。
(1)繊維飽和点を境に、水分は自由水として吸収され、重量は増すが、膨張は見られなくなる。
(2)題意は結合水の説明である。
(3)正解。
(4)表層では引張り応力、内層では圧縮応力が生じ、乾燥初期には表面割れが生じやすい。
(5)接線:半径:繊維=10:5:1
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13.木材の物理的性質に関する設問。
(1)繊維飽和点は一般に25〜35%。はじめに増加する水分は結合水。
(2)吸湿過程では脱湿過程よりも低い含水率で平衡する。等湿下においても同様。
(3)木材の物性に大きく関与するのは繊維飽和点以下における結合水の量である。ただし、電気伝導度は繊維飽和点以上でも含水率が上がるとともに上昇する。
(4)正解。
(5)題意は初期と後期の説明が逆。
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14.木材の強度に関する設問。
(1)正解。
(2)温度上昇に伴い、凝集力の低下により強度は減少する。含水率の高いものほど減少の程度が大きい。
(3)圧縮と引張が逆。
(4)繊維飽和点以下では一般に含水率が増加すると強度が低下する。
(5)強度の劣る未成熟材部は、樹高が高くなると減少する。
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15.リグニンに関する設問。
(1)針葉樹は広葉樹に比べ、リグニン含有量は多いがヘミセルロース含有量は少ない。
(2)セルロースの化学式は(C6H10O5)nであり、Cが少なくOが多い。リグニンはベンゼン環を持つ高分子であるため、Cが多い。
(3)リグニンはフェノール処理で青緑色、アニリン処理で黄色を呈する。
(4)正解。
(5)リグニンはアルカリ処理によって分解される。また、白色腐朽菌によっても分解される。
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16.木材の保存に関する設問。
(1)水中貯木は木材含水率を150%にする。高含水率は腐朽の好条件であるが、酸素が遮断されるため腐朽しにくくなる。
(2)軟腐朽は菌類によるものである。
(3)正解。
(4)ヒバ材の殺菌作用はフェノール成分のヒノキチオールによるものである。
(5)食害虫が消化できないものとしてはフナクイムシがヘミセルロース、ヒラタキクイムシがデンプン、シロアリがヘミセルロースなど。
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17.木材加工に関する設問。
(1)繊維方向は平行にする方が強くなる。また、接着面は平滑な方が接着力は強い。
(2)圧縮強度ではなく、比重によって分ける。軽いものからインシュレーションボード、セミハードボード(Midium Density Fiberboard, MDF)で、最も重いものがハードボードである。
(3)題意はファイバーボードの説明である。
(4)正解。
(5)天然乾燥による含水率は15%程度。パーティクルボードは10%、ファイバーボードは5%程度である。
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18.キノコに関する設問。
(1)キノコは担子菌類、シメジ科、マツオオジ属であり、好気性菌である。
(2)榾木にはコナラ、クヌギが最適。他にも多くが利用される。樹皮の厚いクヌギ、カシワ等は若木がよく、樹皮の薄いシイ、カシ等は老木がよい。一般には10〜20年生の樹皮の厚くないもの。
(3)榾木は伐採時の含水率60〜65%程度のものを少し乾燥させて使うのが適当。
(4)正解。
(5)胞子が発芽すると一次菌糸(単相)となるが、これには子実体をつくる能力はない。一次菌糸が互いに接合し、二次(複相)菌糸を作り、これは子実体を作る。また種駒は菌糸を培養したもの。
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19.椎茸の培養に関する設問。
(1)「ドンコ」「コーシン」はいずれも干し椎茸の品種名。春型は春子、秋型は秋子と呼ばれる。なお、生椎茸用はいずれの時期にも栽培される。
(2)椎茸の生活史:胞子→一次菌糸→二次菌糸→子実体→胞子の順。
(3)純粋培養種駒は菌糸法の一つ。
(4)正解。
(5)伐採時期は晩秋〜早春の、樹液流動停止期が適している。
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20.木材燃焼に関する設問。
(1)正解。
(2)木材の発熱量は約5000cal/g、木炭は約8000cal/g。
(3)熱分解の温度比較
ヘミセルロース:200℃<セルロース:300℃<リグニン:400℃
(4)炭素含有量は炭化温度が高くなると上昇する。炭化温度の上昇とともに容積残存率は低下する。
(5)炭化温度が低いほど抵抗は大きい。
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21.パルプに関する設問。
(1)クラフト法では、ほとんどすべての種類の木材を使用できる。ワラ、タケは広葉樹材との混煮に適す。
(2)正解。
(3)クラフトパルプ(KP)はサルファイトパルプ(SP)に比べて漂白、叩解性が劣る。SPはKPに比べてヘミセルロースの含有量が少なく、紙の強度は劣る。
(4)KPの未さらしは色が悪く、漂白に手数と費用がかかる。KPは包装用紙や板紙に使われる。
(5)クラフト法の廃ガスは臭気が強い。KPは廃液がほとんど有用に利用される。SPの廃液はほとんど利用されないが、液中の糖類を使ってアルコール発酵を行う。
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22.パルプと製造法に関する設問。
(1)KPは樹脂障害が少ないので針葉樹・広葉樹以外にもワラ・タケなどもパルプ化できる。
(2)題意はKP法の説明である。ソーダ法はパルプ原料をNaOH溶液で加圧、加熱する。
(3)サルファイト法(SP法)は薬品の回収が困難。SPはリグニンをスルホン化して得られ、漂白が容易。化学反応性に富むので溶解用パルプに適する。
(4)正解。セミケミカル法は中質(段ボール)紙の製造に用いられる。
(5)砕木パルプは機械的に繊維を切断するので、紙質は弱く、またリグニンが残留しているので変化・変色しやすい。
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23.合板の製法に関する設問。
(1)煮沸と蒸煮の目的は切削を容易にすることである。加えて害虫を殺し、材の保存性を高める。一般に低比重材では切削が容易なため、これらの処理は行われない。
(2)「裏割れ」の防止には蒸煮処理が用いられる。
(3)正解。
(4)最終工程は表面処理。なお、調板工程では側面補修によって幅をそろえる。
(5)スライザーは化粧単板を切削するために使われる。柾目(直角)方向に使われる。ロータリーレースはコンクリートパネル用合板の切削に使われる。板目(接線)方向に使われる。
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24.ファイバーボードに関する設問。
(1)原料ではなく、比重によって区分される。原料については、樹種を問わず、タケ、ササ、ワラも使われる。
(2)比重が大きくなると、平衡含水率は低くなる。
(3)含水率の変化により、寸法は変化せず、強度は変化する。
(4)リグニンは接着力を高める。ゆえに脱リグニン処理は行われない。
(5)正解。
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25.パーティクルボードに関する設問。
(1)正解。
(2)大きいと強度が低下するため不可。
(3)適当な含水率、約10%が存在する。熱板によるホットプレス法では約15%が最適である。
(4)同じ比重ならばやわらかい材料の方が強度は高くなる。主に約0.5程度の比重のものが使われる。
(5)ユリア(尿素)樹脂は約130℃で圧縮する。140〜160℃はフェノール樹脂の場合である。パーティクルボードはファイバーボードよりも接着剤の量は多い。
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26.木材組織に関する設問。
(1)正解。
(2)穿孔があるのは側壁ではなく隔壁である。また、ミズナラは環孔材、ブナは散孔材である。
(3)有縁壁孔を有するのは仮道管。針葉樹では仮道管が支持体を兼ね、真正木繊維は存在しない。
(4)広葉樹にも存在し、針葉樹よりも圧倒的に多い。
(5)細胞間隙はエピセリウム細胞に囲まれた空間。
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27.木材の水分に対する性質に関する設問。
(1)リグニンは疎水性物質。セルロース、ヘミセルロースは親水性物質である。
(2)乾燥の方法と吸湿性には特に関係はない。
(3)平衡含水率と湿度の関係式として次式がある。
v=A-B(100-H)1/2
ここでv:平衡含水率、H:湿度、A、B:初期条件値。
故に平衡含水率vは最初の含水率Aの関数。
(4)一定の湿度下では、温度上昇により吸着と脱着の比が1:1に近づき、吸湿性が平衡に至る。ゆえに増大とはいえない。
(5)正解。
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28.木材加工に関する設問。
(1)針葉樹でも行う。低比重材では一般に行わない。
(2)調板工程は接着の前。単板に対する検査調整である。
(3)正解。
(4)材面が平滑で、比重が大きい樹種ほど接着力は高い。
(5)比重が最も大きいのはハードボード。
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29.接着に関する設問。
(1)繊維飽和点では含水率が高すぎる。接着時の含水率は約10%が適当である。
(2)比重は直接関係なく、樹種同士の相性などに支配される。
(3)正解。
(4)繊維走行度が90゚のとき、接着力は最低となる。
(5)木材の表面が粗いと接着力は低下する。
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30.木材の化学的性質に関する設問。
(1)正解。α-はNaOHで沈殿。β-は酸で沈殿。γ-はきわめて溶解性が高い。
(2)ヘミセルロースはセルロースに伴って存在する多糖類であり、水には溶けず、酸・アルカリには溶ける。針葉樹には10%、広葉樹には20%程度含まれる。
(3)リグニンは酸では加水分解されない。ミクロフィブリルは木繊維の構成単位であり、主成分はセルロースである。
(4)題意は心材と辺材、早材と晩材がそれぞれ逆。
(5)木材の呈色反応は、成分中リグニンの反応による。またモイレ反応はKMnO4を用いて、針葉樹は黄褐色、広葉樹材は赤紫色を示す。
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