最初の演習

 


演習……

山にこもり、攻撃側と防御側に別れて、戦闘行動の訓練をする……
ある意味、一番自衛隊らしい仕事ですね。
もちろん、最初は右も左も分からず、えらいこっちゃになってますが、
個人的には、演習前の、トラック移動がキツかったり……(汗)

自衛隊日録メニューへ


1:移動

 今回の演習は、短いそうだ。
 演習と言うよりは、単なる訓練に近いかも知れない。

 まずは、前日までに演習用の荷造り。
 替えの下着に寝具、帰りに着る戦闘服、初日分の缶飯等々……、結構な荷物になる。これを、移動用のトラックに詰め込む。

 また、演習に関わる資材も、別のトラックに積み込み……
 円ピ(シャベル)、十字(つるはし)、天幕、鉄条網、食器にクーラー等々、あと、出発前には、武器を……

 そしてようやく、出発と相成る。

 演習は、当然演習場で行う。 この演習場までが、結構な道のりで、移動に一日かかってしまう。
 三トン半(73式大型トラック)に乗り込む。

 営門を出て暫く国道を走り、やがて高速へ乗る。
 サービスエリアで休憩をとりつつ、半日後にようやく演習場へ……

 演習場の廠舎についた頃には日も暮れかけ、その日は荷を降ろして就寝となる。
 しかし、廠舎のボロさかげんといったら……
 特に、便所が汚いのなんの。
 臭いが染みついてるようで、衛生もへったくれも無い状態。だだ、事前に消毒だけはされているようだが……

 ただし、最近は良くなってる様子。羨ましい……

 

2:演習

 翌朝。
 午前六時頃には準備を済ませ、それぞれの小隊ごとに防御地点へ……
 今回は、防御側なので、穴を掘ってそこで攻撃側を迎え撃つ。
 慣れない作業に四苦八苦しながら、小銃掩体(えんたい・隠れるための穴)を掘りあげる。

 無論、夜もそこに居なければならないので、歩哨を立てて野宿。
 当時はまだ装備としてあった、個人用天幕を組み合わせて、夜露をしのぐ。

 しかし、寒さと、下の土の冷たさ、固さで、よく眠れない。
 翌日もまた、やや睡眠不足となる。

 空砲を四十発ほど受領し、弾倉二個に込める。意外とずっしりと重くなる。
 うちひとつを銃に込め、自分の割り当ての掩体へ入る。

 銃を正面に構え、敵を待つことしばらく。
 やがて、どこからか空砲の音が鳴り響く。

 緊張して銃を構える。
 やがて、敵の姿が見えてくる。そしえ、班長の『撃て!』の命令で、射撃開始。

 安全装置を解除、連射に設定し、二発ずつの単連射。
 そうしないと、銃身が焼け付いてしまうから。

 夢中で射撃。空砲の破裂音で、耳がおかしくなりかけて暫く、そして……
『状況終了!』 の声が響き渡る。

 恐らく、一番短い最初の演習は、これにて終わりを告げた。

 あとはもう、掘った穴を埋め戻すなどの後始末。
 実は、これがまた大仕事だったりする。

 しかし、やらないと帰れないので、渋々作業。
 そして、その夜は、廠舎に宿泊。

 で……その夜は、決まってアルコール三昧(笑)
 演習中には、『もう絶対辞めてやる』とか言っていた人間が、酒を飲んで大騒ぎしている様は……泣ける……

 


上へ戻る