最後の演習

 


最後の演習

基地通信隊から呼び返されて、すぐ行くことになった演習。
米子……冠雪眩しい冬の終わりの大山(付近)にて行われた。

いちばん寒かった……

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1:寒い行軍

 今回の演習は、雪の残る山ということで、防寒と防水の準備は相当整えて行った。

 今回、防水用にと、ゴアテックスの靴下を用意した。水を通さず、空気だけを通すという優れものだ。……が、防寒性能ゼロなのが、玉に瑕。
 でも、当時は大変高価だった。一足…… まんえん(汗

 トラックに揺られること、うん時間。夜の山に到着し、行軍の出発を待つ。
 この時点で、すでに相当に寒い。
 それもそのはず、雪があちらこちらに残っているからだ。

 それでも、とにかく時間が来れば出発だ。
 すると今度は、寒さではなく眠気との戦いになった。
 個人的に、眠気には非常に弱く、歩きながら寝て、後ろを歩いている連中にかなり迷惑をかけてしまった。
 ひょっとしたら、我慢しようという根性が、基地通信隊のぬるま湯生活で、弱くなっていたのかも知れない。

 しかし、それをある程度克服してしまうと、何だか猛烈に内からパワーが沸いてきた。
 脳内麻薬か何かは分からないが、自分でも気味が悪いくらい元気が出て、かなり気合いの入った状態で到着することが出来た。

 到着後、私は炊事だったので、班の人間と一緒に、炊事の準備。
 雪解けさなかの山であったため、下はぬかるみ、残雪も多く、天幕の設営など、非常にやりにくい。

 また、すぐ半長靴に水が染み込んでくるため、ゴアテックスの威力がすぐに発揮された。でも、あまり嬉しくない。(苦笑)

 

2:寒い夜

 当夜。
 雪が残っているくらいなので、当然寒い。

 炊事なので、演習部隊とは別で、トラックのなかで夜を過ごした。もちろん、官品ストーブ付き。
 その点は、演習中の隊員より遙かに恵まれているのだが……
 やっぱり寒すぎて洒落にならず。
 #もちろん、歩哨は立てているのであしからず。

 また、ゴアテックスも、水を通さないものの、防寒性能ゼロのため、濡れてるんだか何だか分からないほど、神経も麻痺してしまう。
(濡れてるように冷たく感じるが、触ってみると濡れていない、の意)

 翌日。
 日の出とともに、状況終了。
 その時、朝日を浴びる冠雪が、ひどく眩しく映りました。

 ただ……
 飯炊きは、状況終了しても、ご飯炊かなければいけないので、結構しんどいです。
 当然、撤収も一番最後。

 飯炊きは楽、というイメージで見られているために、そこだけが辛かったりします。

 


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