RENTAL BODY シリーズ






「初登校の朝」

作・KAZE
(原案者・TWO BIT)




「RENTAL BODY」シリーズの詳細については



http://www.mirai.ne.jp/~air/asobi/rb.html


を参照して下さい







「なんで俺がセーラー服を…」

ハンガーに掛けられた一着のセーラー服を少女が恥ずかしげに見る。

「はぁ〜っ、あんなところで事故らなければなぁ〜」



話は昨日に遡る…

「…………ん、んん」

「意識が回復したようですね」誰かの声がする

Pi・Pi・Pi・Pi・Pi

規則的な機械の音が聞こえる…

「神経系・循環器系…どれも異常ないようですね」

「それでは鳥羽さん私はコレで…」

「契約面に関しては後ほど担当のモノが伺いますので」

声の主はそのようなことを言うと部屋から出ていった。

「お世話になります。」お袋の声がする。

どうやら俺は生きているらしい…

「契約って何だろう?」

「あれ?、そういえば俺ってどうしたんだ?」

「確か…事故ったんだよなぁ…」

記憶を辿る。

バイト代を貯めてやっと買ったバイクに跨り俺は快調にとばしていた…

新品のバイクの調子はきわめて良く、慣らし運転だと言うことを忘れて、

さらにアクセルを入れたとき、道ばたから飛び出してきた白黒ブチの 憎たらしい顔をした一匹のネコ。

そいつを避けようとして…俺はバランスを崩して…その後は…

う〜ん、思い出せない。

ただ、それなりの怪我をしているはずなのに、身体の何処からも痛みを感じてない。

一体俺はどうなったんだ?

ふっと目が開いた。

「あぁ、気づかれましたか」

見るからに医者と言う風貌の白衣姿の男が俺の顔をのぞき込む。

「祐介!!」続いてお袋の顔が視界に入ってきた。

「鳥羽祐介君、だね」と白衣の男が聞いてきた。

「はい、そうですが…」と声を出したところで、はっと口を閉じた。

まるで、少女の様な声が俺の口から出たからだ。

なっ、なんだこれは、驚きと共に不安感が広がる…

「キミは昨日交通事故を起こして、この病院に搬送されてきたのだよ」

と言って、俺の怪我の症状を次々と伝えてきた。

話からすると相当な重傷のようだがなぜかそんな感じがしない。

それどころかさっきの声のことが気になる。

「ということで、いまキミの本体はメディカルマシンの中で集中治療を受けているのだが」と言ったところで、

「メディカルマシン?」と聞き返した。

そういえば以前テレビで見たことがある、大きく傷ついた人間の身体を、人工溶液の中に浸すことによって、比較的短期間で集中的に直してしまう…と言う話を…

けどそれって、治療を受けるヒトは確か人工冬眠的な状態に…

と思ったとき、この状況の辻褄合わせが出来る答えが浮かんだ。

その時、担任の杉山が顔を出してきて、

「普通ならこのまま一ヶ月ほど入院と言うことなんだが」と付け加えた。

そして「実は問題があってね…」と言うと、

「まぁ、なんて言うかその…鳥羽君、キミの出席日数がねぇ…」

と担任が言ったところで、

俺は自分の出席日数に余裕がないことに気づいた。

「まぁ、このコトで留年させるわけにもいかず、そこでご両親と相談したところ、 体が完治するまでの間、取りあえず替わりの身体を借りてもらうことになってね。」

替わりの身体?…やっぱり…

俺は飛び起きた…

ファサ〜

何かが顔を覆い視界が遮られる

「うわっ、なんだ?」

それが自分の髪であることはスグに判った。

やっとの思いで髪を分けて顔を出すと、自分の身体の様子が見えてくる

白く細い腕、2つの膨らみが盛り上がっている胸…どう見ても女の子の身体だ

急いで股間に手を持っていく…が、そこには男のシンボルはなかった。

「おっ、女の子…??」

「なっなんで…」

そこでようやく親父が口を開いた

「実は…だな…父さんも母さんも、ホントは女の子が欲しかったんだ」

「なぁ、母さん」

「ちょっちょっとお父さんっ…うん、まぁそぉねぇ…女の子なら一緒に買い物は行けるし、 家事や料理も手伝ってくれるし…ねぇ…」

とお袋が言ったところで、親父が

「だから、まぁ替わりの身体を借りると決まったときに、女の子の体にしようと決めたわけだ」

ぬわにぃ〜っ

俺のイヤそうな表情を見た親父は

「まぁ、そうイヤな顔をするな。女の子はいいぞぉ、ブルマは履けるし、レオタードは着られる、際どい水着を着て男どもの視線を集めるコトだって出来る。」

おっ親父ぃ、正気か?

「お父さんたら全く…でも、祐介、女の子の生活もそんなに悪くないから一月くらいの経験もいいものよ」

親父とお袋のとりとめのない会話が続いたのち、話の切れ目で担任が、

「それでは鳥羽さん、制服を用意して置きますので、あとで学校の方まで取りに来てください」と口を挟んだ。

「ほんと、先生にはご迷惑をかけてばかりで…」とお袋が言う

「いえいえ、じゃ鳥羽君、一応学校の方は体が治るまでのあいだ、 女子生徒として通える様なっているから、明日はちゃんと登校するんだよ」

と担任はそう言うと部屋から出ていった。

「え?制服って…」

「決まっているだろう、まさかその身体で学生服を着て学校には行けないだろう」

そういわれた瞬間、女子のセーラー服が俺の脳裏に浮かんだ

「いやだ!!、セーラー服は絶対に着ないぞ」

「校則では女子の制服はセーラー服に決まっているんだろう?校則は守らなきゃぁ」

「ぐっ…………くっそぉ〜、親父てめぇ」

俺は親父をにらんだが、親父の顔は笑っている。

こうして俺は傷ついた本体は病院のメディカルマシンで集中治療させ、 その本体が完治するまでの間はレンタルボディーで学校に通うことになった。

それにしても、女子生徒でだなんて…学校の連中の反応を考えると気が重くなる



「はぁ…」再びため息をついて、俺はセーラー服を見る。

「なぁに、ひと月もすれば男に戻れるんだ、それまでのガマン」

そう自分に言い聞かせると俺は覚悟を決めてセーラー服に袖を通した…

しかし、なんだか2度と元の世界に戻れないようなそんな予感がした。


「あなた…祐介…制服を着ましたよ…」

様子を覗いていた母親が父親に報告する。

「そうか」満足そうに答える父。

「ところで、どんな悩みでも解決していただけると聞きましたが、 どんな悩みも…ですか?」

「はいっ」父親の前に座っている少女が微笑む。

「実は……」


陰謀渦巻く鳥羽家、果たして祐介君の運命は…





あとがき

ども、KAZEです。

とうとう華代ちゃんから、もう一つシェアワールドである「RENTAL BODY」の世界に手を出してしまいました。
(TWO−BITさん、「RENTAL BODY」の世界を汚してしまってゴメンなさい)

さて、今回のお話は”みっしんぐ”さまの「何で俺が…」をみて浮かんだイメージ と、TWO−BITさんの「RENTAL BODY」を組み合わせてみましたが 如何でしたでしょうか?

えっ?、華代ちゃんが居たって?、さぁ〜どーかなぁ…(笑)

では