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ロッカールームのエトランゼ
作:真沙美


お母さん お元気ですか?奈々子です。

お父さんも 元気?外地の暮らしにも慣れましたか?

突然の おとうさんの海外赴任で あわてちゃったよね。ちょっと前まで。

こちらは、わたしと おねえちゃんと、おばあちゃんの3人で仲良くやってるから心配ないからね〜。学校もちゃんと行ってるよ わたし(当たり前か。えへ!)。

で、でもネ、、今ちょっとタイヘンなの。。ううん、わたしじゃないの。

じ、実はネ。。



今ね、校長先生の お部屋にいるんだよ。これがまた。。

言っときますけど、わたし なんか問題起こしたンじゃないよー!

校長先生(知ってるよね?女の先生だよ)、今ね、すごく困った顔なさってる。

問題なのはネ、わたしではなくてネ、

今 わたしの傍らに いる一人の「女の子(??)」に関してなんだあ〜。。

なんで??が 付くかというとねえ、、

お母さんは、また奈々子のつまんない冗談だって 笑うでしょうけどもネ、、

この「女の子」って、実は 男子生徒なんだよねえ〜!信じらんないでショ?



最初から話さないと全然わかんないよネ?

わたしさあ、放課後にクラブの部室に行ったのよ。掃除当番なかったから わたしが部室一番のりだと思ってさ、勢い良く部室のドアを開けたんだア。そしたらさ、部室の奥にあるロッカールームの方で、なにかがガサガサ〜!!って逃げるように動いたんだよ。なんか、こわかったのも事実なんだけど、ウチのクラブは女子のみのクラブでしょ?以前から、部室においてあったブルマとか ダレかに盗まれるなんて事件あったモンで、なんとかしなくちゃなって思っていたんだア。。

「誰なの?!」

ってわたし、勇気出して 大きな声で言ったんだア。

「……………………。」

ナニも答えてこないの。。わたしも膝がガクガクふるえてきちゃってネ。逃げ出したいけど、それもシャクなのよねえ。隠れてるモノが どうか犬かネコとかでありますよーに。。って感じで、傍らにあった 竹ホーキ持って、

「わああ〜〜!!誰ダア!!」

って、ロッカーの陰に潜んでる なにかに、思いきり 突進しちゃったの。えへっ!

そ、そしたらね、お母さん。。

「ぎゃあ〜!」

って叫んで、あおむけにひっくり返ったのが なんと!女の子!…それもね、ビックリしないでね。。その女の子というのが、なんにも身につけてないオールヌードなんだよ!わたし、ホント女の子でヨカッタよねー。。もしも わたしが男子だったとしたら、そのときの情況、他人に見られたら、ゼッタイわたしが その子を乱暴しよーとしてる現場にちがいない、って感じで、警察に突き出されちゃってたヨネエ。

でもね、、あまりのコトと云うか、、突拍子もない事だったもんで、わたしも ナニがナンだか気がスッカリ動転しちゃってネ。。しばらく言葉もないまま、そのヌード状態の女の子と、見詰め合ってたんだ。部活の子ではないし、あんまり生徒の多くないウチの高校だったら、学年やクラスが違っていてもさ、 なんか見覚えぐらいはアルじゃない。でも、、見た事もない 女の子なのよ、その子ネ。。

「…ちょっと、、あ、あなた、 誰よ??」

よおやっと わたし、その子に尋ねたんだけどネ、その子、おっぱいと 下のほう押さえて、恥ずかしそうにマッカにほっぺを染めたまま ダマリこんでるのよ。。それで また、なんかコレって、とんでもない事件でもあったんではないかってネ、わたしも感じてきて、ちょっと またコワクなってきたんだけどネ、それでも、このまま立ち去るわけにはいかないからさア、、

「だ、誰かに ヒドイことされたの??ココの場で。。」

って聞いたけど、その子 やっぱり恥ずかしそうに、下向いてんの。

「先生か、もしもだったら、警察に電話したげようか??」って云ったら、

「…ヤメてください…。」って

消え入りそうな か細い声で 初めてクチ開いた。内気そーな感じの声。

「あ、あのね、、わたし、ココの部の副キャプテンしてる 3年の 奈々子ってモンなんだけどさあ、、あなたココで一体ナニしてたのお??」

「……。」

「いえ。。ウチの高校の生徒だったらさあ、別にココに出入りしちゃいけない ってワケじゃないのよ。で、でもさ、、ウチの高校、プールないよね?水着の着替えもないのに、ナンで裸になってるのか?って、着替えで全裸ってのも、と、とっても気になるモンでね。。あは、あは!。。」

「…すいません。。 ごめいわくかけまして。。」

なんか、その子、ほんとに すまなそうに ますます体をちいさく折るようにして恥じ入ってるからさあ、なんか、わたしがイジメてるような気分になっちゃってカワイソーなよーな。。

「いやいや、、責めてるンジャないのよ。。けっしてネ。。わたしもさ、一応、部をまかされる立場じゃん。ナニがあったかが気になるダケなのよ〜。。」

「…。」

「そ、それよりさ、夏も終わってる時期だし、いつまでもハダカでいるのって やっぱりさあ、、あはあは。。着るもの あんでしょ?着た方がいいよん。」

って、ワケわかんなってきて、精一杯明るく わたしなりに優しく云ったんだけれどネ、、

「…あ、あのお…。着るもの ナイんですう〜。。」

って!…、、なさけなさそーに ナミダ目で 訴えるように云うのよ。わたしにイ。。

びびるよ〜!やっぱ お母さん。。一瞬 『コノ子 アブナイ子じゃあナイかなあ??』って気になっちゃってさ。。でも、、なんかワルそーな子には見えないのよ。被害者になったとしても、間違えても加害者には回りそーもないタイプの 大人しそうで純情そーな子。。お母さんが毛嫌いしてる 茶髪 ガン黒 ルーズソックス の子なんかとは 正反対のタイプよ。なんかさ、野原に捨てられた子犬みたいに すがるよー目でコッチ見てるでしょ その子さア、、わたし、弱いのよね そーゆーのってさ。ついつい 放っておけなくなっちゃうんだア。

「ねえ、あなた。下着すらも今持ってないの??ほんとに?」

「…はい…。」

「トレーニングウェアー。わたしので良かったら着る?パンツもないんじゃあ 肌にジカに着ることになるけど、、わたしはかまわないけど、、抵抗ナイかな?あなたが。。」

「い、イイんですかあ??」

ホッとしたように その子言うから、なんか ハッキリ云って 得体の知れない子だけども、少なくとも ワルイことする子ではない と確信したの。それが、この「女の子」との 最初の出会いだったわけよ。 お母さん。。

部室の表のドアに『本日 緊急に部活休止! ちびっと入らないでネ。。副主将より』って張り紙貼っちゃってさ、わたし。

部室の小さなテーブルに向かい合わせで、わたしと、サイズ合わないから少々ダブダブで、わたしのトレーニングウェアー着た その子と座ってたのだけどネ。やっぱ、とりあえずは信用しよーと思うのだけど、イロイロ不可解なこともイッパイあるじゃん?だから、いささか刑事みたいに、わたし その子を質問しちゃったヨ。

「あのさ、、答えてネ? あなた ココの生徒かな?」

「…はい。」

「…、、疑うよーで ワルイかも知れないけどネー、、あなたの顔って 今までわたし、一度も見た記憶ナイんだけどねー。。」

「……。」

「コレって、、なんか、、フクザツな事情??」

「…し、信じてもらえませんよね。。」

「…疑いたくはないのよ。あなた イイ人そーじゃん。…あ、そーだ!この学校の生徒だというのを確かめるイイ方法がアルわ!。ねえねえ、、今朝の体育館での全校集会、、議題はナンだっけかなあ?」

今朝の全校集会は、体育館を閉めきって行われたモノだったからさ、お母さん。よその学校とかの子だったら 内容を知るはずないもんね。

「校内のイジメ防止への検討 です。。」

「…じゃあ、最後に発言した人はダレ?」

「校長先生。。」

「あ!よかった〜っ! やっぱ ココの生徒だよね!あなた。ごめんね!つい疑ってさ。」

「…いえ・・いいんです。。」

「何年何組の だあれ?あなたは。」

「…、、云っても 信じてもらえない。。」

「え??どーゆーことなのかなあ??」

急にまた ほっぺマッカにして その子 モジモジしちゃってネ、、お母さん。

「あのお。。ぼ、ぼく、、1年2組の 八重洲 良美 です。。」

「えっ??。。い、1年2組?? あ、あれって男子学級では??」

お母さん。。わたしアタマくらくらしちゃったよ。。やっぱ、、この子 アブナイへんな子ちゃんかも。。1年2組は男子生徒のみで構成されているクラスで 女子生徒いないんだもん。。

「…た、たしかに ジョークならインパクトあるけどさ。。はは。。いちおうマジメに答えてほしいなーっ、なんちゃって えへえへ。」

「…すいません。。で、でも、、ホントなんですう。。」

って、その子。。今度は ホントにシクシク泣き出しちゃったのよ。。お、お母さん!



その、、カノジョ曰く 八重洲 良美クン?ちゃん? から聞いた事は 疑問はぬぐえないにしても、一応のスジが通っていてネ。わたし個人では 到底 解決もなにも出来ない問題だと思ったから、職員室に行ってさ、

今、こーして 校長先生の前に ふたりでいるんだア。。



カノジョ?良美ちゃん が云うにはネ、、お母さん。。

良美ちゃんは 1年2組に確かに在籍している男子生徒。。良美ちゃんは、実家が遠くて、学校の寄宿舎寮に 入ってるンだって。あのね、、この寮というのがさ、、今 学校でも問題になっている「イジメ」の巣、中心地なのよ。。2、3年生で、ワルイ男子生徒が数人集まって、下級生を中心に、やりたい放題なんだって。。イジメとか、嫌がらせ、恐喝とか、イヤね。。

良美ちゃんも その例にもれず、ワルイ先輩から モウ毎日 朝晩 いろんなイジメを受けてきたんだって。でね、お母さん。。学校も本格的に、そーゆーイジメを撲滅しないと、それこそホントに自殺者でも出る というので、その朝の全校集会で この件を討議したのよ。。

そしたらネ、、寮のワルイ先輩たちが、こんな風向きになったのは、イジメられてる寮の後輩達が、先生達にチクったからに違いない って短絡的に誤解してネ。バカよね そいつらってさ!。。そいでもってネ、、そのワルイ先輩たちが、放課後になって寮に戻ってきた 良美ちゃんを捕まえて、ポカポカ殴って、、悲惨な話だけどネ、、素っ裸にひんむいちゃってね、良美ちゃんを。。猿ぐつわに ロープでからだ縛って、、ホラ、わたしのクラブって女子のみじゃない?そこの部室に 放りこんでいっちゃったんだってさ。。こわいよねえ。。お母さん。。外道の逆恨みって、このことよねえ。良美ちゃんに、勝手な怒りの腹いせとして、死ぬほどの辱めを 受けさせてやろーとしたんだよ。そいつらって!許せないね。

…でね。お母さん。身動きも出来ない、大声も出せない状態の 良美ちゃんは、芋虫みたいに無残に 床に転がされていたのね。。屈辱と情けなさで 死にたくなってたらしいよ。。かわいそーだよねえ。。このままでいたら、こんな情けない姿を 女子生徒の誰かに発見されて、大騒ぎじゃない?取りかえしのつかない 一生の恥をかかされる。そんなことになるんだったら モウほんとに死んでしまいたい。誰か ボクを助けてよ〜!! って、、良美ちゃん 本気で祈ったんだって。。そうしているウチに、、部室の外のほうから、走って来る足音、、…わたしなんだよね。その音がダンダン近づいて来て、『ああ〜!!モウ ダメだあ〜!!誰か たすけてえ〜!』って思ったンだって良美ちゃん。。

…そしたら、、瞬間的に、

なんか時空が一瞬 ゆがんだような へ〜んな、気分になり、時間が一瞬ストップしたような、どろーんとした おかしな感じになったんだってさ。。

良美ちゃんが ハテナ?と思って、ふと あたりを見まわしたら、、

良美ちゃんの スグそばに、ひとりの女の子が立っていたんですって。。

『いたわしい ですね。あなた。。』

って、語りかけてきたんだってさ そのひとが。。

『たすけてください!こ、こんな姿を 女子の人に見つかったら。。し、死んでしまった方がまだどれだかマシですっ!!』って泣きながら、猿ぐつわ越しでウマく言葉にならないまま、泣きながら 良美ちゃんが云ったら、、

『心配はないですよ。大丈夫ですからね。』って、そのひと、ニッコリ微笑んで一瞬にして姿、幽霊みたいに消えちゃったんだって!!

…お母さん?だいじょうぶ?…わたし 狂ってなんかないからねえ あはは!

それでね、、良美ちゃんも あっけにとられてて、ふと、、我に戻ったンだって。。そ、そしたらさア、、猿ぐつわも、体を縛っていたロープも、なくなっていて。。自由の身になっていたけど。。

で、でもネ、、次の瞬間。。

良美ちゃんは、、それだけなら良かったンだけど、、

こ、今度は、トンデモナイ事が 自分に起きていたのをハッキリと自覚したの。。

そう。。わかるでしょ??もう。。

良美ちゃん、体は自由になっていたのはイイんだけども、、その体自体が、、

『女の子』の肉体に。。。

背も、骨格も、顔つきも ちっちゃくなっちゃって、、おまけに髪の毛が一瞬で 女の子らしいサラサラのロングヘアーになっちゃってネ。。

し、しかも、、自分の首から下を見てビックリ!!

まだ お母さんのしか見た事のない(って云ってたよ 良美ちゃん。えへへ)おんなのひとの おっぱいから、その他一式(えっへっへ!)が ついてたンで、卒倒しそうになったんだって。。ソコへ、わたしが勢い良く 部室のドアを開けたンだってさ。。



それでネ、、お母さん。。

わたしら ふたりと、、校長先生。モウどーしていいか わかんなくてさ。当然よね。。校長先生アタマ抱え込んで、うなってた。。

「で、、八重洲く、いえ、サンだわよねえ。とりあえず、、今のところ。。か、かなあ??」

って校長先生 混乱してるの あはは!

「おおよその情況は飲みこめました。。ええ。。あなたが、1年2組の生徒である 八重洲良美 という存在に間違いない ということも認めます。ナニより 入学時の身体検査記録に基づく、子供の頃に交通事故による骨折の跡が、今のアナタのふくらはぎにもちゃんと残っているという事実は、完全に、ソコにいるアナタが 八重洲良美だという事実を証明出来ます。。」

と、そこまで云って 校長先生、デスクの上の お茶をゴクっと一気に飲んだわ。。

「えと、、大島奈々子さんでしたね 3年1組の。。あなたも ご苦労様でした。事情はどうあれ、我が校の生徒が苦境に陥っていることに対し、適切な救済の措置を講じてくれたのは、なによりでしたわね。」って、わたしホメられちゃったア! お母さん!

「…でもですね。。八重洲さん。。あなたのお話しも、けしてウソはないと あえてわたしは支持します。教え子を信じますよ。わたくしはね。。でもね、、どーも わかんないのは、あなたを、その、、女の子に変えてしまった 人と云うのが どーも合点がいかないんですよねえ。。」

「そうなんですよ!校長先生。わたしもハナっから そのことがどーも引っかかっていて。」

「奈々子さんも そー思うわヨネエ。。ねえ、八重洲さん?その、あなたを、一瞬で 女の子の姿に変えてしまったらしいと思える そのひとって、、、一体 ダレなの??」

「そそ!名前とか聞かなかったの??良美ちゃん。そのひとの。。」

良美ちゃんは ひとしきり首をひねって考えながら、

「ええと。。まだ小さなカワイイ女の子で、、【 真城 華代 】って云ってました。そのひと。。」

 どんがら がった〜〜んっ!!どてえ〜〜ン!!

わ、、わたしと、校長先生のコケた 音。。なははは。。。い、いててて。。

お、お母さん、、なんのことかわかんなかったら、インターネットで

【少年少女文庫】見てネ。。

こ、こんな近くにまで、華代ちゃん 出没してたんだア…。うう〜ん。。

ようやっと気を取り直した 校長先生、、

「こ、コレで、よおやく謎は解けました。。魔法ではしかたないですね。。とほほ。。八重洲さん、あなた個人には なんの責任もナイこと。。今まで通りに、学校生活を継続しなさい。。モチロン、、、ふふふ、、我が校でね!なんとかしますわよ!もう、、いきがかり上ね。。」

やっぱ、お母さん!校長先生イイひとだよ!

「…でもねえ、、問題もアルわよねえ。。とりあえず 八重洲さんは、女子の転校生としてごまかせるけど。。八重洲さん、あなたウチの学校の寮生だったわよねえ。。学校の寮は 安全上、男子しか入寮出来ない規則よねえ。。ご実家 九州でしたよねえ?どーしましょ?。。」

ソレ聞いて、良美ちゃん。またまた お目目をウルウルさせちゃって。。。行くトコないじゃん。。

女の子の体となった 良美ちゃんひとりが、男子ばかりの寮に入ったら、、それこそ身が危険だよね。おかあさん。それに、、あんなひどいイジメを受けた先輩のいる寮自体にも 帰りたくはないはずだよね。。良美ちゃんも。。ウチの学園だからこそ、こうして校長先生の ご理解もあるし、なんとか良美ちゃんも やっていける予感もあるけど、、住むトコなくなっちゃったら、学校にいれないじゃん。。今の姿の 良美ちゃんを そのまま受け入れてくれる他の学校なんかドコ探してもないよ。お母さん。。



「こ、校長先生!!わたしのウチから 、良美ちゃん学校に通わせます!!」

ゴメンね!! お母さん!勝手に云っちゃった!わたし。。

あんまり かわいそーで、、良美ちゃんが。。

…わたしさあ、お母さん。あんまり出来のイイ娘じゃないけど、それでも、いいつけだけは守って、ソノ意味では イイ子だったよね?事後報告でホントすいませんけど、えへへ。こーして良美ちゃんに係ったというのも ナンカの因縁だよね?(勝手でゴミンね)元はオトコの子っていうんだけど、良美ちゃん。わたしにとっては初対面から 女の子だったのよ、カノジョはネ!わたしのわがまま聞いて お願い!おかあさん。良美ちゃん しばらくの間 我が家において わたし お世話してイイでしょ??。。ウチの おばあちゃんと、おねえちゃんにも、この事を 云ったらサア、

「えエ〜〜?! ナニそれ〜〜!!一緒に住むのオ〜!。」って、けっこーブーイング食らったけど、あはは!…でも、不安そうにソバでビクビクしている 良美ちゃんの姿 おばあちゃんとおねえちゃん、一目見たらば、、

「きゃ〜〜!!かわいい子じゃなーい!いらっしゃーい!」って途端に ニコニコになっちゃってさ!あはは!やっぱ わたしと同じ血を引く家族だよね〜!!一発で 良美ちゃんを気に入っちゃった。そんなわけで、ふたりとも良美ちゃんの強力なサポーターになっちゃったよー!!ネ!いいでしょ??おねがい!勉強キチっとしますから。約束しますから。



でもねえ、、お母さん。

あらためて思ったのだけど、おんなってさ、イロイロ大変なのよねえ。。オトコの子って基本的に子供の頃と日常の行動、生活変わらないけどさあ、おんなは そうはいかないモンねえ。。

だってネ、良美ちゃん、なんにも知らないのよ!女の子のこと。。当たり前かも知れないけどさア。。良美ちゃんも イキナリ女の子になっちゃって かなりとまどってるのは事実だけどさ、とにかく今の良美ちゃんって、オトコの子だなんて どっから見ても思えないワケだからさ、事実おんなの体だしイ。。モウ たいへんよ!あのねえ〜、ブラッシングでしょ〜、トリートメントでしょ〜、ブローもそうだよネ。一応 最低限のメイクとかなんかも教えなきゃなんないじゃない?ナニも知らないから 良美ちゃん。そーそー、、スカート、スカート。ズボンしか履いてなかった良美ちゃんだからさ、スカートがね、なんか、布着れ巻いてるにしか感じなくて、スースーして不安だ。って云っちゃってネ。パンツ見えちゃうのが なんか非常に恥ずかしいらしーよ あはは!わたしと大違いかも。。このさきとりあえず、高校生活、女子の制服、スカートで過ごしていくわけだから、タイヘンかも知れないけど、こりゃ 頑張ってもらわないとネ。あとさあ、、ブラも大変だったよお〜!背中のホックとか『なんでこんなことも出来ないのよ アンタは!?』ってキレそーになるくらい、元オトコの子ってダメだねえ、外すのはウマくても。(ウソウソ!!えへへ〜)元の体オトコの子のクセしてさ、良美ちゃん。。体つき 細っこいのに、ナマイキにも、わたしなんかよりもバスト大きいんだよ、、あったまきちゃう。。ちとヒガンでる わたしなのだ。。ウチのおねえちゃんの、お古になったブラ回してもらって、ツケさせてるから、高校生にしては、ハデハデなんだあ、今ね。なんか、恥ずかしいらしくて、良美ちゃん。えへっ!自分でちゃんとホックとめられる位に、つけるのが上達したら、ちゃんとランジェリー売り場で選んであげないと と思ってます。

こないだなんだけどね。。



例によって、良美ちゃんに、女物の服装のつけかたとか、しまい方、たたみ方 とかを教えていたのよ。良美ちゃんって、根がマジメというか、一生懸命 今の状況になんとか早くなじもうとしていて とっても素直でけなげヨ。うん。なんでも「はい はい」って、覚えようとしてる。エライんだよネ。。イイ妹が出来たみたいで わたしも満足。それでネ。

「ねえ、、良美ちゃん。」

「はい。奈々子さん なんですか?」

「良美ちゃん、華代チャンの魔法で 女の子になっちゃんたんだよネ?」

「…は、はい。。」

「華代チャンって、一度 オトコから女へ変えちゃった人の元には、モウ二度と 現れてくれないのかねエ??」

「…さあ?? どーなんでしょ??…。」

「あ?ゴメン気にした?」

「いえ、そんなことないです。。」

「…これから先にネ、華代チャンに逢えないとするじゃない?。。そしてたらさあ、良美ちゃんは、男の子に戻れないまま これからも女の子のままかも知れないネ。。」

「そーですねえ。。」

「やっぱ、オトコの子に 戻りたいでしょ?良美ちゃんは?」

「…。なんか、、フクザツです 断言できません。。こちらに置いていただく生活も楽しいし。。」

「…なんかさ、、わたしが云うとおかしいし、無責任かも知れないのだけどネ、、これからきっと、いろんな障害とか、ハンデとかがさ、体が女の子になっちゃたアナタに つきまとうだろーけどさ。。学校にいる間はマダいいわよ。。でも、学校終わって社会に出たら、戸籍とか オトコのまま体だけは 女性っていう、差別じゃナイけどさあ、なんかニューハーフとかの人と 同じ位置付けで世間から見られるオソレもあんよね?…でも、、わたし、本音を云えばネ。。」

「はい。。」

「良美ちゃんと、初めてあのロッカルームで出会った時からさあ、良美ちゃんは、あくまで わたしにとってはヨ、、元々からの女の子なんだよねえ。」

「そおですよね。あはは。。なりたての女の子でしたけどね。うふ。。」

「だからネ、、わたしはさ、出来ればヨ。。これからも 良美ちゃんがずう〜っと、、女の子のままで いてくれた方が、ずっと お友達でいられるし、そのほうがウレシクもあるんだア…。」

「…。ありがとう。。うれしいです。ほんとに。。」

なんか、わたしたち ちびっとダケ、ウルウルしてきちゃったヨ、その時ネ。



「でもね、良美ちゃん。」

「はい、奈々子さん。」

「今までも 女の子としてのイロイロ教えてきて、これからもイロイロ 教える事も多いんだけどさあ。」

「はい。」

「これだけは、、って云うと おおげさなんだけどね。。」

「…。」

「良美ちゃんはさ、魔法で女の子の体になっちゃったのだけどネ。。女ってさ、わたしもまだ おこちゃまで、エラソーなこと云えないけども。。たださ、体つきが こおやって、おっぱいが大きくなってて、オシリが大きいとかっていう 外側の問題ダケではないと思うのよ。」

「ええ。。」

「意識というか、オトコとして 自分の体を珍しがったり、下着とかを 他人事みたいに、妙に恥ずかしいって感じで敬遠するようではイケナイと思う わたし。」

「……………。」

「あのとき、、華代ちゃんが現れなかったら、、良美クンは、わたしに素っ裸の、オトコとして最大に恥ずかしい姿見られて、舌でも噛んで死にたかったわけよね?」

「ええ。。そーです。。」

「その願いが、少々 暴走したカッコだったけど…あはは! 華代ちゃんが かなえてくれたんだよね?」

「さいきん わたしも、、よおやっと そう思い始めるんです。。」

「でしょ?。。だからさあ、イジメでさ、死にたくなってた良美ちゃんを救い出すという方法が、今みたいに女の子になるという事だとしたら、、いえ、それしかなかったんだよね。」

「うん。。」

「死なずにすんだという、、この、女の子になったという事。。その意味を大事にしてね。。良美ちゃんが死んでしまっていたら、、今 こおやってさ、わたしと仲良くしてられないじゃない。。」

良美ちゃん、ポロポロ涙こぼして、、コックリうなずいたよ。。お母さん。

「ぼく、いえ、ワタシ。。イジメがこわくて、毎日びくびくして。。ずっと心閉ざして、後ろ向きに暮らしていました。でも、、こうして、、女の子になっちゃって。。ナンていうんでしょうか?、、死なずにすんだということ、、こうして奈々子さんに出会えて、やさしくしてもらって、、こうしてることを思うと。。『ああ、女の子になれてヨカッタなあ!』って、思うんですよ。。このまま一生 おんなのままでも構いません。自分で努力して、情けなかったオトコの子の時を 取り戻すためにも、立派な女性になるために がんばろうっていう気に、今 なってます。。」

なんか、わたしもうれしかったよ。お母さん。。性としての転換ダケではなくて、それまでの歪んだ人生っていうのかなあ?それも、やりなおす気に 良美ちゃん 今なってるの!



こういった会話をわたしたちは、クローゼットのある 奥の居間で交わしていたの。お母さん。

良美ちゃんから、初めて前向きの発言を聞いた わたしは、私達いつもの着替えの練習をしていたんだけどネ、まだまだぎこちなく 不慣れな、良美ちゃんの手を添えるようにして、、

淡いピンク色のブラジャーの後ろホックを プチっと、とめてあげたんだ わたし。。

それじゃあ、元気でネ!お母さん。お父さんにも このこと、ひとつヨロシク云っておいてネ!

また お手紙します。  奈々子より。



   おわり。





コメント::

今回は、手紙という形式にしてみました。ドッカで見た聞いた固有名詞がイロイロ出てきますが、ソコは ご愛嬌(笑)みかん飴さんのCGの、困って恥じ入っている 女の子の姿でイメージがわきました。



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