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ポルトガル百景 (#1)
作:八重洲二世


【基本設定】
魔法国家ポルトガルの国民は、魔法の力を持っている。
しかし、魔法の力には個人差があり、生まれつき魔力の強い者もいれば、運動音痴と同じように魔法音痴もいる。

さて、ここ、私立エスクード学園では…

【キャラクター】
●カイル・マラクラン
私立エスクード学園高等部3年B組。名門の出で、勉強もできる上に魔力もズバ抜けて強いサラブレッド。表向きは優等生だが、その実体はエスクード学園の裏番(裏の番長)である。モニカを彼女にしたいと思っている。

●ジョウ・ブラック
カイルの同級生。中流サラリーマン家庭の三男。何の取り柄もなく、カイルの使い走りをやらされている。気が弱い上に魔法音痴なので、カイルに魔法を使われても抵抗できない。

●モニカ・ルビンスキー
大財閥のお嬢様で、3年B組のマドンナ的存在。カイルと肩を並べるほどの優等生で魔力も強い。言い寄ってくるカイルのことを嫌っている。


【状況】
 ある日さえない少年のジョウは、クラスのマドンナ、モニカに告白される。有頂天になるジョウ。しかし、ジョウの幸せはそこまでだった。ジョウの浮かれた様子を不審に思ったカイルが、放課後、ジョウを呼び出したのだ。
 魔法を使ってジョウから事の次第を聞き出したカイルは激怒した。それもそのはずで、自分にはなびかなかったモニカが、パシリのジョウに告白ったというのだから。カイルの怒りの矛先は、ジョウに向かうことになった。

カイル「貴様みたいな庶民にモニカは不釣り合いなんだよ!」
ジョウ「はあっ、ごめんなさい、カイルさん! モニカとはつき合ったりしませんから!」
カイル「フフン、素直じゃないか。庶民はそうじゃなきゃな?」
ジョウ「じゃあ、許してくれます?」
カイル「いいや、許さないね。貴様は僕のプライドを傷つけてくれた。相応の報いは受けてもらうぜ」
ジョウ「ひぃぃぃぃ」
(ジョウ、逃げようとする)
カイル「おっと。──魔力・レマトイタンゼ!!」
ジョウ「ああっ、体が動かない!」
カイル「魔法音痴の分際で僕から逃げられるとでも思ったのか?」
ジョウ「あわわわ……」
カイル「僕の魔法で雷を落としてやろうか?」
ジョウ「そんなぁ、死んじゃうよう!」
カイル「知ってると思うけど、学園の理事長は僕の叔父だからね。大概のことは事故ということで処理してくれるのさ」
ジョウ「ガタガタガタ…」
カイル「フン。まったくモニカはこんなヤツのどこが良かったっていうんだ。まったく不愉快だ。そうだ。雷はとりやめだ。いいことを思いついた」
ジョウ「?」
カイル「ジョウ。モニカとつき合ってもいいぜ?」
ジョウ「??」
カイル「ただし、つき合えるものならな! ──魔力・レアナニコノナンオ!!」
ジョウ「うわああっ勘弁して……アレ? …痛くない?」
カイル「フム、我ながら上手くかかったもんだな。ジョウ、鏡を見てみろよ、ホラ」
ジョウ「鏡…って……?! うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
(鏡の中に、ジョウの面影をわずかに残す女生徒の姿が!!)
ジョウ「僕が…女の子になってるぅ!!」
カイル「アハハハハ。傑作だ! その姿を見たモニカは何て言うかな!」
ジョウ「うわぁん、ひどいよカイル! 元に戻してよ!」
カイル「嫌なこったね。その格好、わりと様になってるじゃないか。けっこうな美少女だぜ? 一生そのままでいろよ」
ジョウ「シクシクシク……」
カイル「あ〜、魔法使ったら喉乾いたな〜。ジョウ、爽健美茶買ってこいよ」
ジョウ「……この格好で?」
カイル「なんなら蛙かなんかにしてやってもいいんだぜ?」
ジョウ「爽健美茶だね? 買ってくるよ!」
カイル「フン、冗談さ。フェミニストの僕が女の子をパシリにするわけにもいかないからな。おっと、もうこんな時間か。家庭教師の先生が来てしまう。早く帰らなければ」
ジョウ「あの…カイル…。僕にかけた魔法は…」
カイル「(ニヤッ)明日からは人気者になれるぜ、ジョウ」
(カイルはそう言い残すと、ちょうど迎えにきた車に乗り込んでジョウの前から姿を消す)
ジョウ「あっ、待ってよ〜〜〜〜……」

(その後、ジョウは両親に連れられて魔法医にかかる)

魔法医「う〜ん、難しいね。ハッキリ言って、私の魔力じゃ元に戻せないよ。他人の魔法を解除するのは、自分の魔法を解除するよりも数段難しいからね」
ジョウ「そんなぁ…」
魔法医「だからね、君に魔法をかけた相手に言って解除してもらうのが一番だよ」
ジョウ「相手はあの名門マラクラン家の人間なんですよ」
魔法医「なるほど、それは下手に逆らったりしたら何をされるか分からんな。ま、気長に相手を説得してみることだ」
ジョウ「魔法を強制解除する方法があるって聞きましたけど」
魔法医「これだけの魔力の持ち主がかけた魔法は強制的に解除しようとすると、特殊な魔法器具が必要になってくるよ
ジョウ「その魔法器具っていくらくらいするんですか?」
魔法医「君のお父さんの年収の10倍くらいかな」
ジョウの父「頼りないパパを許してくれっ、ジョゼフィーヌ!」
ジョウ「うわっ、早くも女名前で?!」
ジョウの母「パパの会社はマラクラン家の系列会社なのよ」
ジョウ「ああっ、大人の事情?!」



ジョウ「こうして僕は、女の子として学校に通うことになってしまった。といっても、学籍簿などの書類上は男のままなので、日直なんかも女の子とペアを組むことになる。学校側もうすうすカイルの仕業だと気付いているけど、というかカイルの仕業だと気付いているからこそ、表だっては僕の変身を見てみぬフリしている。要するに、先生達の事なかれ主義だ。体育の授業のときなんかはさすがに男子に混じるのは無理があるから女子扱いされるけど、それ以外のときは、例えば出席のときなど僕は相変わらず『ジョウ君』と呼ばれている。フォークダンスでも女の子と組んだ。まあ、これは男と組まされるよりは僕としては嬉しかったけど。それと──。カイルの言ったことは現実になった。幸か不幸か。モニカさんは僕が女になっても変わらずに接してくれた。だから、僕らは今つき合っている。でも、それだけじゃなくて、僕は、その──。どうも、いまじゃモニカと並んでクラスの男子に人気があるらしい。僕が半分やけくそで『女の子』を演じるようになってからそういう傾向に拍車がかかったような気がする。女の子の姿になってみると、男相手にも女相手にも、以前よりもストレートな物言いができるものだ。そんなところが受けているらしい。時々、ポロッと男の言動が出てしまっても、それは『ボーイッシュ』ということでプラス評価されてしまう。近頃じゃ事の張本人のカイルまでが妙に僕に優しかったりする。ゲロゲロっ、だ。ま、おかげでパシリとはおさらばできたけど。その代わりに頭痛のタネは、男子どもの熱い視線。『君は理想の美少女だ』なんて言われてもちっとも嬉しくない(うそ。少しは嬉しい)。男子とは話題が合うから喋ってて楽しいけど、それを勝手に恋愛感情と勘違いされても困るね。ちょっと前まで男だった僕が同じ男を相手にこれっぽっちもときめくわけがない。ああ、それなのに──。毎朝、コレだもの。ありがた迷惑というかさ。ほんと、いやんなっちゃうよ!」





あとがき、めいたもの


別に、ポルトガルに強い思い入れがあるわけじゃないです。
強いていえば、前園さんの言う通りだからポルトガルなのです。

仕事が忙しいとかほざいといて何を書いてるんでしょうね。
というか、ですね、
この作品は、風邪で熱を出して寝込んでいたらファーと夢に出てきた話を忘れないようにメモっただけのものです。基本的に。

少年少女ギャラリーのイラストにつけるストーリーってのは、こういったシチュエーションだけ抜き出してきたような作品が主体でもいいと思うのです。そんなに気合いを入れてビシッと完成した物語を書かなくても、こういうのもアリでしょう。


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