らんなマジックショー
by.Tarota


学園祭の季節がやってきた。
あっちの学校でもこっちの学校でも文化祭、学園祭の看板が掲げられている。
中学・高校・大学と、規模もさまざ。内容もさまざまな文化祭が…。
ここ、私立光徳学園も例外なく文化祭の日を迎えていた。
高校の学園祭というと、模擬店、お化け屋敷、喫茶店、学習展示、部活発表〜
まぁそんなところだろうか。
しかし、ここ私立光徳学園では、大学並にゲストを呼んだりもしているのであった。
学校側から今回招待を受けたのは、「乱菜魔術団」であった。

「はーい。光徳学園のみなさん。今日はお招きありがとう!」
わーっと、男子学生からの歓声があがる。
乱菜魔術団。
3人の女性による華やかな魔術団である。
亜麻色の短髪とスレンダーな体形で、中性的な雰囲気をみせる団長の沙羅。
腰まで伸びた黒髪とややぽっちゃりした体形で一見するとおっとりした感じに見える可憐。
金髪でダイナマイトバディーのエレナ。
それぞれの最後の文字を取って「らんな」である。
3人が3人とも美人で、魔術そのものより、彼女達目当ての客も多い。
「それじゃ、『らんなマジックショー』始まりまーす!」
高く上げた三人の手の平から、紙ふぶきが舞い、鳩が飛び出す。
こうしてマジックショーの幕は切って落とされ、生徒達はその魅惑の世界に夢中になっていった。
「はーい。次の魔術には、会場のみなさんの中からお手伝いしてくれる人を探しているんですぅ」
小一時間程経過した頃、可憐が観客に向かってそう呼びかけた。
たちまちあがる手の数々。ほとんどの男子生徒があげているようだ。逆に女子で挙手しているものは皆無に近い。
「あーん。男子殺到ですぅ〜。男女ペアが望ましいのに、困りますぅ」
「アレで選ぶしかないわね…」
可憐の甘えた声に、沙羅がそう切り返すと
「コレですネ!」
エレナが即座に鳥籠を取り出す。
「古来より伝わる方法で決めたいと思います。
 この鳥が止まった方お願いできますか?」
エレナが押さえている鳥籠から2羽の白い鳩を取り出し、沙羅がその手の中から放つ。
2羽の鳩は高く舞いあがり、空中で2・3度旋回したと思うと、自由に飛び立つことなく、客席の方へ向かって行った。
そして見事、男女1人ずつの肩に止まる。
羨望の眼差しの中、2人が舞台に上がっていく。
「お名前と学年をどうぞ」
「深沢恵美子、3年です」
「坂下健治、同じく3年です」
「はーい、健治さん、恵美子さんご協力お願いします。
 お二人にはこれから、あれに入って貰いますので!」
指の向かう先を追って後ろを振り返ると、そこには二つの箱が積み重なってできた大きな箱が並んでいた。
箱の扉はガラス戸になっていて、中からも外からも様子が解るようになっている。
この手の魔術だと、中身が見えないからこそタネをしかけられるのでは?
と思ったが、これも見せかけの為のトリックなのだろう。
並んだ箱の左に恵美子が、右に健治がそれぞれ入れられると、扉がに南京錠がかけられた。
目の前のガラス扉のお陰で視界は明るいが、首のところに板があって、自由に動かせないので、視界は固定されたままだった。
体の方も狭い箱なので身動きがあまり取れず、もそもそと体を動かすくらいしかできない。
2人が箱の中でそわそわしている間に魔術団の面々は準備が整っていた。
「それ!!」
二人の入った箱の頭の部分の方についた取っ手を団長の沙羅が引っ張る。
同時に、逆側からエレナが箱を押してアシストする。
その瞬間、健治と恵美子の視界は左にずれ始め、同時に体の感覚が無くなった。
そうしてどんどん、体の入ったボックスはそのままに、頭のボックスだけが左にずれていき、健治の頭のボックスが恵美子の体のボックスと重なった。

途端に、健治は体に感覚が戻るのを感じた。
だが、その感覚は、何処となく違っていた。
下半身がスースーするような、足の下半分が外気にさらされているような感じがする。
さらに、脚と脚とが直に触れ合う感じもする。
健治は狭い箱の中で手を動かして、下半身に触る。
布に手が触れたが、それはズボンのように2つに別れておらず、ぐるっと腰の周りを覆っているようだ。
途中、足と足の間に触れたが、そこにあるべき感触が無い。
もう一度確かめるように触れるが、大事な部分が無い。
え?まさか…
今度は手の動きを上半身に転じる。
すぐに柔らかい布が手にまとわりついた。
それから、柔らかく弾力のある抵抗を感じた。
その動作は勿論ガラス越しに観客席に伝えられる。

その間も、恵美子には相変わらず体の感覚は無く、首だけ宙に浮いているような感じをうける。
実際、恵美子の首の下では、
「はい、この部分には何もありませーん!」
などと可憐が、能天気な声を上げていた。
しかし、首が動く範囲は狭く恵美子には様子が解らない。
視線は客席に固定されたまま、体の感覚もない…。
ガラス越しに見える彼女の目にはいつしか涙が浮かんでいた。

ジャカジャカジャカジャーン!
という音がして、健治の頭と恵美子の体がくっついっている箱の扉が開かれた。
中身は果たして、本当にその通りの姿があった。
健治はやっと自由になった首を動かして自分の体を肉眼で確認する。
セーラー服の襟。リボン。膨らんだ胸。スカート。スカートから覗く素足。
手を前にやると、細い手首が確認できる。
沙羅が大きな姿見を持ってきた。
果たしてそこには誠心学園のセーラー服を着た自分の姿があった。
いや、セーラー服を着た恵美子の体に自分の頭が付けられたんだという事は容易に想像がついた。
健治は暫し、そのセーラー服につつまれた体に見入っていた。

その間に、残る恵美子の首と、健治の体が入った箱が接近しつつあった。
恵美子の体にようやく感覚が戻る。
嬉しさの余り、狭い箱の中で自分の体を抱きしめる。
しかし、いつもなら胸に当たる筈の感触がない。
え?え?
一生懸命手探りしても、そこにある筈の、去年より3cmアップした、膨らみには触れず、ごわごわと荒い生地を擦る感覚だけがあった。
この手触りは明らかにセーラー服とは違うものだ。

扉が開いて、中から健治の体の恵美子が出てきた。
久しぶりに見えた他の景色は悪夢だった。
セーラー服姿の坂下とか名乗った男と…鏡にちらりと映った学生服姿の自分。
体を見下ろすと、確かに学生服にズボンといった格好で、触って感じた通り、胸は平らだった。
「ひょっとしなくても、それ、アタシの体!?」
健治の顔を持つその体に詰め寄る。
「はい、そうですよ!人体交換魔術でお二人の首をすげ替えたんですぅ!」
答えたのは、健治ではなく、可憐だった。
「どうしてこんな事するんですか!?」
「マジックショーに意義なんか聞かれても困りますぅ。
 皆さんが驚くような事をするのが魔術なんですぅ」
「もう、早く戻してください!」
「そんなに男の子の体が気に入らなかったですかぁ…?」
沙羅が、恵美子の体に右から擦り寄る。
「あ、当たり前です…」
「そうなの残念ネ…」
エレナが左から擦り寄る。
2人の女性に挟まれ、両手に柔らかい物体が押しつけられる。
恵美子の心臓がドキっと高鳴る。
同時に今まで感じた事の無い興奮感というか、衝動というかが湧き上がる。
男の体は反応が出やすい。
「あらーん。ココ…」
「男の子の反応だ…」
2人してズボンの上から恵美子のソレに触れる。
真っ赤になってうつむく恵美子。
「ほらほら…触っていくと、どんどん大きくなりますね…
 気持ちいいんでしょ?恵美子さん
 男の体になって良かったネ!」
「いいわねぇ…男の子の体…
 折角なったんだからしてみる?。お姉さま達と楽屋で…」
言い終わらない内に、物凄い力で、2人を振り払う。
「そんなに良いと思うなら、自分達の体と交換したらどうですか!」
「いいわねぇソレ」
「ねぇ、健治君はどう思う?」
そのとき健治は、鏡に向かいながら、自分に胸を揉むのに夢中だった。
「あふん。何か呼びました?」
「人の体に何してるのよぉ!!」
恵美子の力強い鉄拳が健治の顔にクリーンヒットする。
顔まで入れ替わってなくて良かったね^^
「もう、早く戻してよぉ、こんな奴に私の大事な体預けるなんてこれ以上いやぁ〜」
「と言ってますが健治さん?」
「うーみゅ…女の子の体最高!戻りたくない…」
床に倒れてうめきながら健治が答える。
「じゃあ、さぁ、アタシ達3人の誰かと体交換してあげるからさぁ…」
ばっと、飛び起きる健治。
3人の体をかわるがわる見回す。
「やっぱりエレナさんがいいなぁ」
「OKネ!」
「ああ、いいなぁ〜」
本当に残念そうな声をあげる可憐。
「じゃあ、恵美子さんを元に戻して、ワタシと健治クンの体を入れ替えマース!」
エレナが会場に向かって説明している間に、沙羅と可憐によってボックスが一つ増設される。
その中に左から、健治、エレナ、恵美子の順で中に入る。
 
頭:健 治エレナ恵美子
体:恵美子エレナ健 治

箱を右にずらすと…

頭:   健 治エレナ恵美子
体:恵美子エレナ健 治

となる訳だ。

健治とエレナの扉が開き、中から出てくる。
一際大きな歓声が会場内からあがる。
さっきまでのはまだ、ひょっとしたら女装/男装しただけのコメディー劇であるという可能性も捨てきれなかったが、今度はより女性のラインがはっきりしているエレナの体だ。
服装も薄着であるので、はっきりと体の違いが露だ。
合体した瞬間から感じていたが、胸がずっしりと重く、ちょっとの動きで揺れるのが解る。
健治は自分に備わっているその大きな脂肪の塊を楽しそうに下から持ち上げて揺さぶってみる。
重たくて、柔らかくて、最高だった。
健治は鏡に向かうと、今は自分の体である、薄着に包まれた見事な女体を鑑賞し、その肌触りを愉しんだ。
その後ろでは、エレナが楽しそうに自分の股間のものを触っている。
健治は今のこの体の隅々まで見てみたかったが、この場で公開ストリップショーなんて真似は出来ない。
そう思っていたところに、エレナが近づいて来て耳打ちした。
「楽屋行こうか…」
体だけ入れ替わった2人はこうしてステージから消えて行った。

その間に、恵美子の体がようやく元に戻される。
久しぶりに帰ってきた正常な体に、恵美子は嬉しさの余り自分を抱きしめていた。

「他にも体を交換してみたいて人いますか?」
沙羅の問いかけに、体育館中から返事が殺到する。
男子だけでなく、女子までも恥ずかしそうにそーっと手を上げている。
らんなマジックショーの人体交換魔術は当分終わりそうにない。


【GALLERY管理人より】
作品を見て(読んで)良かったと思ったときは、ぜひとも何かメッセージを残していって下さい。
一言の簡単なメッセージでも結構です。

・「面白かった」「もっと続きが読みたい」といった感想
・「○○の出番を増やしてほしい」などお気に入りのキャラに対するコメント
・「△△さん、頑張って下さい」など、作者さんへの励ましの言葉

…などなど、御自由にお書き下さい。
ただし、誹謗中傷のようなコメントは御遠慮下さい。

●既に書かれている感想を見る

コメント:

お名前:

※匿名・仮名でも構いません。



※書き込み後は、ブラウザの「戻る」ボタンで戻って下さい。