小さな美少女・ミクロレディ(笑)

 原案 『呪いの生き人形(笑)』(画・Cindyさん)

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 ちゃあ〜ちゃっちゃらっちゃ、ちゃあ〜ららららっ♪
「わたしの名はプロフェッサーQ。……地球は狙われているっ!」
 いきなりなんだが、とにかくそういうことらしい。
 そして、日本が世界に誇る若き万能科学者大場久太郎(おおば・きゅうたろう)教授――通称プロフェッサーQ。本名で呼ばれるのは嫌だそうだ……は、スクエアな銀縁メガネを右の中指でくいっと持ち上げ、黒のタートルネックの上から羽織った白衣の裾を大きくひるがえした。
「人形サイズの極悪生命体アクダマダー、その地球侵略を阻止するために万能科学の粋を結集して開発された戦闘用ドールロイド――それが君たちミクロレディだっ!」
「…………んなことのために、身内をリカちゃん人形にしたんかいっ、叔父貴っ!」
「くくっ、高額のバイト料に目がくらんだ自分が憎い……っ」
「……女の子の手って、…………小さいんだ……」
 研究室の真ん中に据え置かれたデスクの上には、そろいのセーラー服を着た三体の女の子人形――もとい、超小型アンドロイドが、腕組んだり頭かかえたり、自分の両手を感慨深げに見つめたりしながら突っ立っていた。
 プロフェッサーQの甥っ子、聡史(さとし)とその友人二人は、教授の口車(と、バイト料)にのせられ、はっと気がつくと身体と意識を分離され、小さな美少女・ミクロレディ(笑)にされてしまっていたのである。
「実は遠隔操作やサイバーリンクでは、ドールロイドの能力を充分に生かしきれないのだ。そこで君たちの意識を抽出してプログラムに書き換え、万能科学回路に納めてしまえば文字通りその身体を自分のものとしてつかうことができるのではないか――と考えたのだ」
「能書きはいいから元に戻せっ。……だいたいなんで戦闘用なのにセーラー服なんだっ」
「ううっ、両親は 『女の子が欲しかった』 なんて言ってたけど……っ」
「あっ……胸、やわらかいんだ…………ん、あ……ああんっ! …………こ、これがボクの声……なの?」
「…………当初は重装甲タイプのドールロイドを開発する予定だったのだが、機動力重視で設計を変更していったら、いつの間にかこうなってしまったのだ。
 万能科学セーラー服装甲が嫌なら、万能科学メイドさん風エプロンドレス装甲なんかもあるぞ。
 あ、そうそう、君たちの元の身体は、生体保存用万能科学ポッドの中に入れてあるから、十年二十年うっちゃっといても大丈夫だ。……安心して出撃したまえっ」
「安心できるかあああっ!!」


 んでもって。
「ふっふっふっ、よくここをつきとめることができたなミクロレディの諸君っ。
 しかしこのアクダマダー四天王のひとり、エチゴヤデビルの 『オモチャに催眠装置を仕込んで子どもたちを操り地球を侵略する作戦』 を、簡単に阻止できると思っているのかねふっふっふっ」
 いきなりな展開だが、とにかくそういうことらしい。
 しかし、初対面のヒーロー(ヒロイン?)の名前をいきなり呼ぶわ、悪だくみの内容を胸はって自慢げに言ったりするわと、ステロタイプこれ極まれりの悪玉だった。
 ……しかもその作戦、某チ〇ル星人のパクリだし。
 だが、そういった枝葉末節(しようまっせつ)なことは完全に無視され、閉店後の人気が途絶えたオモチャ量販店の中を舞台に、ミクロレディの三人とアクダマダー四天王・エチゴヤデビルの戦いが始まった(笑)。
「ゆけっ! アクダマ戦闘兵たちよっ」
 わきゃわきゃとどこからともなく出現し、襲いかかってくる下っぱ戦闘員。
「くっそ〜っもうヤケだっ。お前ら全員ぶっ倒して、叔父貴からバイト料たっぷりふんだくってやるっ」
「ああっ、机の下のH本とHゲーム、始末しとくんだった……っ」
「……ボクは…………ううん、あたし……あたし負けないっ」

 一分後、オモチャ量販店 《トイざマス》 は、跡形もなく吹っとんだ。


 そいでもって。
「万能科学をなめてもらっては困る。あの程度の爆発でどうにかなるような君たちではない」
 頭ちりちり全身すすだらけになったミクロレディたちを見回し、教授は余裕たっぷりに白衣の裾をひるがえした。
「で、でも、聡史のヤツとはぐれてしまって……っ」
「聡史クン、かわいそう……。今度のバイト料で仁美(ひとみ)ちゃんの誕生日プレゼント買うんだって、はりきってたのに…………」
 どーでもいいことかもしれないが、あれは 「はりきっていた」 とは言わない。
「まあ大丈夫だろう。万が一を考えて、ドールロイドのボディが致命的な損傷を負うと、自動的に意識が元の身体に戻るように設定してある。
 つまりそれが起きてないということは、我が甥はいまだ健在ということだ。
 あ、言っておくがいまのことは聡史には内緒だぞ。あいつがこのこと知ったら、真剣に戦わなくなるからなっ」
 はっはっはっと高笑いする教授。二体のミクロレディは思わずこうつぶやいた。
 ――あ、あんた……………………鬼やっ。


 で……
「ふふっ。前からこんな全身可動タイプのリアルドール、欲しかったのよね〜っ♪」
「お、おいこらっ、よせっ、やめろ仁美っ」
「う〜ん、さすが高級品。下着も脱がすことができるんだ……」
「うわあああっ、ととと……取るなああっ」
「うるさいわねっ。人形の値打ちは靴とか靴下とか、ボタンやレースの付け方とか、見えないところがちゃんとしてるかどうかがポイントなのっ。
 ……へえ〜っ、こ、こんなところまでちゃんと作りこんであるんだ。さすがプロフェッサーQ」
「みみみみ見るなああっ! …………あ、ああん……っ」
「や〜ん女の子みたいな声出しちゃってっ。……うふふっ、でもほんと可愛い、さ・と・み・ちゃんっ。
 そうだっ、巫女さんの服とかチャイナドレスとかあるから…………あとで着せてあげるねっ♪」
「や、やめてくれえええええっっ!!」
 ……しかし、エネルギー不足でパワーセーブモードに入った今の彼――彼女に、仁美ちゃんの魔の手から逃れるすべはなかった。

 がんばれミクロレディ、負けるなミクロレディ。……地球の未来は君の活躍にかかっているのだっ。






「月並みなセリフで、あっさりまとめるなあああああっ!」


                                                       ちゃんちゃんっ。


 思いつきだけで作ったものですが、たまにはこんな即興曲みたいなお話もいいでしょう(笑)。
 プロフェッサーQのキャラクターはちょっともったいないので、もしかするとまたどこかで登場するかもしれません。

                                                  2000.4.1 MONDO


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