(以下は三年前、ホームページ開設時に掲載した文章)

 

メディアに見るトランスセクシャル(性転換)の神話

 このホームページの主題は「ロマン(幻想)としてのトランスセクシュアリズム」である。
 トランスセクシャル(transsexual)とは言うまでもなく性転換者/性倒錯者を指す英語である。似た意味の語にトランスジェンダー(transgender) というものもある。こちらも基本的に性転換を指す語である。ジェンダーとい う言葉は「性別」という意味で、最近日本でもカタカナ語として定着しつつあ るが、本来は生物学的な性別(sex)と区別しての社会的・人為的な性別あるい は性役割というニュアンスを持っている。近年のフェミニズム論最大のキーワ ードであろうかと思われる。
 そもそも、フェミニズムにしろ性転換にしろ、そ の「本家」ともいうべきはアメリカである。アメリカと聞くと、ゲイなどの性倒錯に対して寛容な国というイメージもあるが、それは潜在的に存在する過剰 なまでの性役割幻想の裏返しとしての「建前」に過ぎない、という見方もある。 実際、建前論を持ち出して取り繕わざるを得ないほどにアメリカ人が性倒錯を 嫌悪していることは、一昔前のアメリカ映画なり小説なりを見てみればすぐに 分かる(人種問題と同様に)。アメリカで興ったフェミニズムという思想も、 裏を返せば、「逞しい男=家父長」というセントラルドグマに支えられたマッ チョ幻想の対抗幻想としての属性を多分に有している。同じく、性転換という 社会的な選択肢がアメリカにおいて最も先進的に確立されたのも、逆説めくが、 性転換的傾向と全く相反するマッチョ幻想が強力に機能している国だからこそであろう。
 以上のような構造は、米国の縮図という側面を持った戦後日本の社会にも当然あては まる。「男性原理」という名の幻想が社会的通念として機能しているとき、当然ながら、その文脈においてトランスセクシュアリズムは社会的記号として捉えることが可能になる。個人のレベルにおいては性同一性障害という問題であっ たとしても、それが社会的文脈の中で語られるとき、性転換という概念は幻想/ファンタジーとして扱われるべきなのである。ゆえに、メディアを通じ、フィクションとし て語られる、男が女へと変じるというモチーフは、例え発信者の意図にそれがなかったとしても、常に社会的な幻想(ロマン)=神話としての性質を持つこ とになる。
 各時代の各種のメディアに散見される性転換的モチーフを収集し、分 析するという行為はすなわち、無意識に語られてきた現代の一つの神話体系の 再構成にあたる作業だと私は信じている。このホームページが、トランスセク シャルという現象の持つ非常に現代的な「意味」について少しでも考える材料を提供できれば幸いである。

 …ってのはタテマエでありまして〜。
 ここは、性転換萌えな人のためのクールでチェキラウなページだったりします。
 基本的に、性転換的なモチーフが登場する小説・コミック等の網羅的な解説(紹介)が目的ですが、網羅なんて一生かかっても無理なんで、まー、とりあえずできる範囲でカバーしてきます。フィクションとしての性転換に興味のあ る人は見てって下さいな。
 ちなみにホームページを開設したのは、この手の情報の需要がアニメ ・コミックのファン人口のうち2,3パーセントはあるんじゃないかなーとい う甘げな見込みと、もしそうだったら同好の士に情報提供してもらえることも あるかもね、という更に甘い見込みがあったからです。
 あと、一応誤解の無い ように言っておきますが、ここは現実に手術を受けたいとか、受けようとかいう人にとって役立つサイトではない、ということです。あくまでもフィクショ ンとしてのトランスジェンダーというモチーフを研究したい人のためのサイト です。もちろんマイノリティーの人をこばむものじゃ全然ないですけど。 ま、あれですな。巷にありげなネコ耳サイトとかメガネ娘サイトとか、ああゆうのの一形態と思って下さい。
 
 私はひそかに美少年の女装とかショタ物とかそーゆー少女漫画的なモチーフも愛でているんですが、そのへんは少数とはいえそれなりに充実したサイトがあるんで、この際だから一番少数派的な性転換という ジャンルに特化したわけです。もし他に同じ主旨でページ開設してる人がいた らぜひ教えて下さい。私の野望は「ラブコメ」とか「不倫モノ」といったフィクションのジャンルの一つとして「性転換モノ」を世間に認知させることですっ! 
 ……って、我ながら重症かな。でも同好の士を募ってるのはほんとです。おてがみ待ってまーす。
 
 
八重洲一成
yays@geocities.co.jp