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[華森蘭丸くん] 〜ver.「K」〜
画・原案:みかん飴さん
作K




 とある所に、ふつうに暮らしている華森さんのお宅には二人のお子さん。高校3年生の兄「蘭丸」君と中学2年生の妹「かすみ」ちゃん二人兄妹がいました。
 その華森家のある朝の話です。


「うっ、うーん」
 ベットの中の人のふくらみが大きく動いて、かわいい声が聞こえたのでベットの横に立っている男がベットの中の人物に声をかけた。
「やっと、目を覚ました?。蘭丸お兄ちゃん」
「あー。ん、まだ俺は寝てるよ・・・。むにゃ、むにゃ」
「もー、お兄ちゃんは相変わらず朝寝坊なんだから!。ほらっ、さっさと起きて!」
と言うと、男はベットのふとんをおもっきり引っ張った。


ドーーーーーン!!


 布団と一緒に、ベットに寝ていた人間も床に転げ落ちた。
「いってーーー!」
「ごっめーーーん、お兄ちゃん。まだ、この体の力の加減がわからなくて」
「何しやがるんだ、かすみ!!」
 この「かすみ」と言ったのは、かすみちゃんを確認して言った訳ではない。蘭丸君を「お兄ちゃん」と呼ぶのは、かすみちゃんしかおらず、蘭丸君はかすみちゃんに毎朝起こしてもらっているからであった。
 布団と一緒に床に落とされた人物は、ふとんを跳ね除けて立ち上がった。
 そして、自分を床に転げ落とした人物に文句を言おうと見たのだったが・・・。
「あれーーー!?、何で俺の目の前に俺が立ってるんだー?」
 蘭丸君が見た目の前の人物は、誰あろう他ならぬ蘭丸君だった。
「ふふふ、お兄ちゃん。自分の体を確認してみてよ」
 蘭丸君の目の前の蘭丸君が、蘭丸君にそう言う。
「えっ、俺が俺におにいちゃんと呼びかけて、自分の体を確認しろって言って・・・。あん!?」
と言いながらも、目線を自分の体に落とした蘭丸君の目に入ったのは・・・
「何で、俺がかすみのパジャマを着てるんだ!?」
 驚いて、自分の着ているパジャマを触れて確認しようとした時、手が胸にふれた。
「んっ・・・・!?。やわらかい・・・。これって、女の子の胸!?」
 そして、今度は両胸を両手でしっかり触ってみる。
「ひゃ!?。俺・・・。女の子になってるの!?」
「あーー、お兄ちゃんのエッチー。いきなり自分の胸さわってるー」
 両手を胸にそえている少女に、蘭丸君の前にいる蘭丸君が声をかける。
「えーい、うるさい!、俺!」
「あたしは、俺じゃないもーん。お兄ちゃん、まだ気づかないの?。しかたないなぁ。じゃあ、これ見て」
 蘭丸君の前の蘭丸君は、少女の目の前に鏡を差し出した。
 蘭丸君の目の前に出された鏡にうつっていたのは、かすみちゃんの顔を見たのだった。
「ん!?」
 目の前の鏡をよく確認するようにのぞきこむ少女。
「なにーーー。俺がかすみになってるのか!?。じゃあ、俺の目の前にいる俺は・・・」
「やっと分かった?。お兄ちゃんの体の中身はかわいい妹のかすみちゃんだよー」
と蘭丸君の目の前の蘭丸君が言った。
「と言う事は、俺とかすみの体が入れ替わってるのか?」
 そう、蘭丸君が朝、目をさますと蘭丸君と妹のかすみちゃんの体が入れ替わっていたのでした。
 さっきまで布団の中で寝ていて、布団ごと床に落とされた人物は、かすみちゃんになった蘭丸君。その蘭丸君を起こしにきて床に引きずり落とした男は、蘭丸君になったかすみちゃんだったのです。



「何でこんな事になったんだ?」
と、かすみちゃんになった蘭丸君。
「えっ、昨日お兄ちゃんが言ったじゃない」
と、蘭丸君になったかすみちゃん。
「・・・かすみ?。俺はどうして、体が入れ替わったのかを考えてるんだ。俺が昨日何か言っら俺たちの体が入れ替わるのか?」
「だってお兄ちゃん。あたしと入れ替わってみた言っていったじゃない。昨日の晩の事よく思い出してよ」
「そんな事言ったっけ・・・」
 蘭丸君の頭の中で昨日の晩の蘭丸君とかすみちゃんの会話が再生された。


『かすみには分からないだろうけど、高校3年にもなると受験とかいろいろ大変なんだよ』
 いかにも大人ぶった口調で話す蘭丸君。
『お兄ちゃん何言ってるのよ。受験生って言うけど、いつも、受験勉強もしないで遊びまわってるじゃない。あたしにだって、いろいろ大変なことがあるよーだ』
と、かすみちゃんも納得しかねる口調で答える。
『何言ってるんだよ中学生が。しかも、かすみは女の子じゃないか。男には女に分からない大変なことがいろいろあるんだよ』
『女の子には女の子しか分からない、いろいろな事があるんだから』
 らちのあかない兄妹の会話である。そして、蘭丸君は次の様に言ったのだった。
『女のいろいろな事なんてたかが知れてるよ、あーあ、俺も女に生まれてくればよかったよ。いっその事、今からでもお前と入れ替わってでも女のなりたいぐらいだよ


「そういえば、かすみと入れ替わりたいと言ったような・・・」
と、昨日の再生から現在に戻った、かすみちゃんの蘭丸君が言った。そして考え込むように胸の前で腕を組んだ。
「やっと思い出したようね。じゃあ・・・」
と蘭丸君のかすみちゃんは言いかけて言葉を飲んでしまった。目の前のかすみちゃん(つまり中身は蘭丸君)が自分の胸をもんでいるのだった。
 蘭丸君は腕を組んだときに、自分が女の子になったのをハッと思い出し胸に手を持っていったのだった。
「かすみ・・・。お前の胸・・・、もうすこし大きい方がいいぞ・・・」
 自分の(正しくは現在の蘭丸君の体のかすみちゃんの)胸を手にした、蘭丸君の正直な感想だった。
「余計なお世話よ!。あたし胸は現在進行形で発育中なんだもん。この前の身体測定でも去年よりもだいぶ大きくなったんだからっ」
 正しくは、身体測定でそんな事計らないでしょうが・・・。



「そんな事よりお兄ちゃん、これ着けて」
 そう、かすみちゃんは言って蘭丸君の手にブラジャーを差し出した。
「なっ、これは女の子がつけるもんだろー」
 男としては、ブラジャーをいきなり手渡されたら恥かしいのも当然である。しかし、
「何言ってるの、お兄ちゃんは今は正真正銘の美少女なんだから。ブラを着けるのは当然でしょ」
とかすみちゃんの弁。
「だれが美少女なんだよ!。自分の事つかまえて」
「まあ、冗談はともかくブラは着け何ちゃダメ。胸が型崩れしたり、動くとき不便だったりするんだから。ジュニア用のブラジャーだから始めてのお兄ちゃんにはちょうどいいでしょ。さっあたしが着けてあげるね!」
「ジュニア用のブラジャーなんてあるのね・・・」
 そして、蘭丸君はかすみちゃんに始めてのブラジャーを着けてもらったのです。


 蘭丸君は、ブラジャーをした自分の体を見下ろしていた。
「・・・何で俺がブラジャーをしてなきゃいけないんだ。女の子になってみたいとは、ちょっとは思ってみたことも在ったけど・・・。本気で男を捨てる気は無かったのに・・・。今の俺はブラジャーまで着けちゃって、本当の女の子だよ」内心、ブラジャーを着けている自分を認識してちょっと恥かしい蘭丸君だった。
なので、かすみちゃんに
蘭丸君、祝初ブラ・「ねえ・・・。これ、やっぱり着けなきゃダメ・・・?」
と言った蘭丸君だったが、かすみちゃんはきっぱりとこう答えた。
「はい、やっぱりブラは着けなくちゃダメです」
 改めて恥かしくなり、うつむく蘭丸君にかすみちゃんは
「ねえ・・・、女の子っぽいよ、今の感じ。ついでだから『あたし』って言って見てよ」
「えっ・・・、あっ・・・、わ・・・、わ た し・・・。てっ何恥かしい事言わせるんだよ!」
 とつい自分の事を『わたし』と言ってしまって顔を赤くする蘭丸君でした。




「てっ、これで終わりか!?」
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「俺達が入れ替わった理由も説明せずに、しかも俺の恥かしい場面で終わらせやがって・・・」
「お兄ちゃん・・・。入れ替わった理由は後のお楽しみだって。それとここで終わるのは『作者様コメント:彼の名前は華森 蘭丸(はなもり らんまる)くんです。ただ今、女の子にむけて成長中です。』とあったのでつづき物にすることにしたみたい」
「じゃあ、俺はこれから『女の子にむけて成長中』になるのか・・・」
「俺じゃないでしょ、さっきも言った通り『わ・た・し』」
「えっ・・・。わっ、わた、わたたた、わた・・・・・・・・・・」

「お兄ちゃんがこんな調子になってしまったので、ここで終わらせていただきます。読んでいただいて有難うございました。まったネー」




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