「戦え! ピンクハウス」
 
 
作・水谷秋夫
 

 
 異次元人ヤプールにあやつられたミサイル超獣ベロクロンに、東京は蹂躙されていた。地球防衛軍はなすすべくもなく全滅した。町は火の海だ。このまま、地球はヤプールの手に落ちてしまうのか。
 その時、北斗星司と南夕子は互いのウルトラリングを合わせた。
「シュワッ」
 まばゆい光とともにあらわれたのは――。
「あ、あの服は!」
 ひらひらの桃色衣装。髪は三つ編み二本赤リボン。身長四十メートルにも及ぶ巨大少女。
「ピンクハウス!」
「ピンクハウスだ!」
「我らがヒロイン、ウルトラマンピンクハウス!」
 そう、ウルトラ5兄弟の末娘、ウルトラの星から地球を守るためにやってきたウルトラマンピンクハウスだ。
 なお、ウルトラマンピンクハウスは女性のため、体重と年齢は明らかにされていない。
「戦え! ピンクハウス!」
 超獣ベロクロンはベロクロくちから、一億度の熱を吐いた(監修:円谷プロ、構成:大伴昌司、「怪獣図解入門」より)。しかし、羽毛よりも軽く、スチールよりも堅いピンクハウスの衣装はびくともしない。
「デヤッ!」
 ベロクロンに跳び蹴り。そして一本背追い。たまらず地面に這いつくばる超獣ベロクロン。
「フゥェッ」
 ウルトラマンピンクハウスが右肘に左手の甲をつける仕種をした。メタリウム光線だ。眩い光がベロクロンの体に突き刺さる。爆発音が響いた。しかし、ベロクロンは倒されたわけではなかった。まだ、生きている。一見、何も変わりないように見えた。
 そして、超獣ベロクロンは怪訝な様子で立ち上がった。
「どうしたんだ」
「ベロクロンの様子がおかしい」
「手で胸を押さえているぞ」
「見て! ベロクロンの胸が膨らんでる」
「何か探しているぞ」
 そのとき、ウルトラマンピンクハウスは巨大な長方形を空間に描いた。バリヤーでも張るのか? いや、そこに出現したのは巨大な鏡だった。
 ベロクロンが叫ぶ。
「グワオ、ガッ(これが、ぼく?)」
「グゲロ、ガァグ、グゲグゲラァ(女の子の胸って、やわらかいんだ)」
 ウルトラマンピンクハウスが宇宙語でベロクロンに話しかける。
「ベロクロン。ヤプールの言いなりになってる場合じゃないわよ。おうちに帰りなさい」
 その声に、はっ、とするベロクロン。
「ゲェ、グワォ、ガァッ、ガォガォッ……。(そうね。せっかく女の子になったんだから、おめかしして素敵な彼を掴まえなくちゃ)」
 そしてウルトラマンピンクハウスに導かれ、ベロクロンは異次元に帰っていったのだった。
 地球の平和は保たれた。
 しかし、いつまたヤプールの策謀で新たな超獣が地球に現れるかわからない。
 がんばれ、我らがヒロイン。戦え! ピンクハウス。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
あとがき
 水谷秋夫です。
 八重洲さんのコメントを読んで、ことぶきさんの絵を見ていたら、いつのまにか超獣ベロクロンと戦う巨大少女の話になってしまいました。
 資料を当たって知ったんですが、南夕子はTACの一員になる前は看護婦だったんですね。月世界からルナチクスを倒すために地球にやってきて、日本の看護学校に入学したわけか。それとも、もぐりの看護婦?


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