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『初出撃! MACHINE ANGEL』
絵師:MONDOさん
作K



 研究施設の正面にある草原で2体のロボットが対峙していた。1機はゴリラを角張らせたように無骨なロボット、もう一体は流麗なフォルムのスマートな機体。そのロボットの名は『MACHINE ANGEL』通常略して『エンジェル』と呼ばれた。
 敵ロボットの右手のパンチがボクシングのフックの様に巻き込みながらエンジェルの左顔面に襲い掛かる。
 ガキーーーーン
 そのパンチを、エンジェルは顔面の左前に左手を縦に出して受け止めた。
「そんなパンチがあたるエンジェルじゃないわ!。このエンジェルの方がスピードは上よ。って何で俺が女言葉使っちゃうのよ、じゃない。使っちゃうんだ。 早川博士、俺はやっぱり自分がこんな言葉になってしまうなんて絶えられないわ、じゃなーーーーい。なんで・・・」
 混乱して、エンジェルの動きが一瞬止まる。
「ハヤトくん!。敵のパンチがボディーに」
 その声をハヤトが聞き認識し、エンジェルが反応する。敵ロボットのエンジェルの腹部に狙いを定めて放たれた左パンチを、 エンジェルが右手を敵のパンチを叩き落とす様に下に振り落として防御する。
「サンキュー、みちるさん。俺がこのロボットをやっつけて、みちるさんのカタキをかならず取ってみせるわ!。ダーーー何で女言葉になるのよ、またーーー」


 話は1時間ほど前に戻る。
 ここは早川宇宙開発研究所。宇宙開発を行うための機械や、道具などを宇宙開発公団などから発注をうけて研究している。
 その早川研究所に向かう一本道をバイクが疾走してくる。
 そして、ザザザッと後輪を滑らせて研究所の正面玄関にそのバイクは止まりライダーはサッと飛び降りて走って玄関に入って行く。
「みちるさん、大丈夫か?」
 ハヤトは部屋のドアの前で叫んだ。この研究所の所長、早川博士とその娘みちるはこの研究所に住んでおり、ハヤトはみちるが怪我をしたと聞きバイクでやってきたのだった。
 ちなみにハヤトとみちるはすでに親も公認している恋人同士であった。
「入って、ハヤトくん」
と部屋の中からみちるの声がしたのでハヤトはドアを空けて部屋の中に入る。部屋の中にはベットの上にいるみちるとベットの脇のイスに座る早川博士がいた。
「みちるさん、怪我のほうはどうだい。でもなぜ怪我したんだい・・・」
とハヤトは言ってみちるをみつめた。
「ハヤトくん、今日市内に正体不明のロボットが現れて暴れたの知ってる?」
「ああ、なんでももう一体違うロボットがあらわれて、追い返したっていう話だったな」
 みちるの質問にハヤトは答えた。みちるは質問のあと無言でハヤトの見つめている。
「・・・まさか、その暴れたロボットを取り押さえたロボットに・・・」
 しばしの沈黙のあとハヤトが言った。
 それに答えたのは早川博士だった。
「そうじゃ。わしが作ったロボットにみちるが乗って正体不明のロボットを追い返すのに成功したが、その時、みちるも怪我をしてしまったのじゃ」
 その時だった、
 ウウーーーーーー。ウウーーーーーー。
と警報音が鳴り響いた後、所内に放送がされた。
「正体不明のロボットが研究所に向けて、接近中。正体不明のロボットが研究所に向けて、接近中」
「なにーーー。みちるがこのままではエンジェルは出撃は不可能じゃし」
 早川博士はそう言って悩みこんだがハヤトとみちるは何かを確信した目つきで見詰め合っていた。
「博士」
 ハヤトはそれだけ言って早川博士を見つめた。
 早川博士は一度みちるを見てからもう一度ハヤトを見つめ、
「ハヤトくん。エンジェルで出撃してくれ」



 ハヤトは研究所の正面に置かれていたエンジェルのコクピットに乗っていた。
「ハヤトくん、エンジェルの操作方法は簡単じゃ。君が右手を動かせばエンジェルの右手が動き、左足を動かせば左足が動く。
 そして、今からそれを可能にするためのシステム、ジョイニング(接続)システムを作動する。このシステムはパイロットの動きをダイレクトにロボットに伝えると共にロボットからの情報をリアルタイムにパイロットに伝える事が出来るのじゃ。
 しかも、エンジェルにはすでにみちるの行動パターンデータが蓄積されているためジョイニングするだけでエンジェルのデータをハヤト君が得られるはずじゃ」
と早川博士はハヤトに言った。
「ハイ、博士」
 早川博士はハヤトの返事を聞くとひとつうなづき、ボタンに指を乗せた。そして、
「ジョイニーーーング、エンジェル!スイッチ、オーーーン」
と叫び、ボタンを押した。
 コクピット内のハヤトは体の内側から来る様な衝撃に見まわれた。そして、それが収まるとコクピットの正面が全てモニターになっていて外の状況が自分の目で見ている様に分かることに気がついた。
「博士、外の状況がよく把握できます。エンジェルの情報もあたしに伝わってきます。これなら、エンジェルを動かしてみちるさんのカタキを取れるわ・・・?。あれっ何で俺が女言葉を使ってるのかしら・・・!?あれーーーあたしの体までーーー」
 コクピット内のハヤトは少女になっており、その口からも女言葉が発せられていた。
 それを見た早川博士は、
「まっまさか、エンジェルに蓄積されたみちるのデータがジョイニングされたときにハヤトくんに流れ込み物質的にも変化、つまりハヤトくんを女性にしてしまったのか?」
と早川博士が言った時、違う声がハヤトにかけられた。
「ハヤトくん!前、敵ロボット」
と言うみちるの声に反応しハヤトは敵正体不明のロボットが正面から接近しているのを確認したのであった。


 そして、話はロボット同士の格闘に戻る。
 敵の左右のパンチを防御したハヤトとエンジェルは反撃を試み様としていた。
「よーーーし、あれをやってみる」
 ハヤトが言った。『あれ』をみちるはすぐに分かった。何しろエンジェルはもともとみちる用に作られたロボットである、知識は一番ある。
「でも、エンジェルに初めて乗ったハヤトくんが・・・。いいえ、ハヤト君を信じるのよ」
 ひとりつぶやくみちる。
 その時、エンジェルは天空に高く羽ばたいた。そう、背中にある羽にも見えるバーニアを展開して吹かした為、まさしく羽ばたいたのであった。
 そして空中で一瞬止まると敵ロボットに向かって急降下してきた。そして、
「プ・ラ・ズ・マ!。キーーーーーーク」
と言うハヤトの叫び声と共にエンジェルは足から敵ロボットに突っ込んだのであった。


 そして、プラズマキックをもろに食らった敵ロボットはこなごなに砕け散っていた。
「みちるさん・・・。わたし・・・じゃない、俺、みちるさんのカタキを取っわ!」
「うん」
 ハヤトはみちるに言い、みちるはハヤトに答えた。
「博士、早くジョイニングを解除して下さい。そうすれば、わたしは元に戻るんでしょう?」
 そうハヤトは早川博士に言った。しかし、
「いや、ジョイニングをオンする時はデータの流れ込みがあるが、オフする時はつながりを切るだけなので変化があるとは・・・」
「えーーー。それじゃあ、あたし。ずっと女の子のままなの?。あーーーついに全文女言葉になってしまったわ」
とハヤトが言った時みちるがハヤトに声をかけた。
「大丈夫!」
 そのみちるの強い口調にハヤトは、
「みっみちるさん。わたしが・・・、俺が元に戻れ・・・」
と言いかけた時にみちるはハヤトの言葉をさえぎる様に言った。
「うん、ハヤトくんをあたしが一人前の女の子にしてあげるから。心配しないで大丈夫!」
 それを聞いたハヤトがエンジェルの中で叫んだ。
「そんなの大丈夫じゃないわ。わたし・・・じゃなっい。俺を早く男に戻してくれーーーー」


 エンジェルと少女・・・じゃないハヤトの 葛藤 戦いの日々はまだ始まったばかりである。






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